ちょっと長くなるんだが聞いてくれないか?

夕べ会社の新年会でさ、三次会のカラオケが一時半くらいに終わって、テンションMAXだったもんだから、車で小坪トンネルに行こうって話になったんだよ。

メンバーは五人でさ。
「滑川の所の地下駐車場は昔首斬り場で、工事中に何千体もの人骨が出た」なんて話をしながら車を走らせてたんだよ。
他にも今まで遭遇した霊の話なんかもしててさ。
地元のどこそこでこんなの見たとか盛り上がってたんだけど。

二時過ぎだったかな、時間的に。
大仏の近くにトンネルがあるじゃない?
付近の人ならわかると思うんだけど、そこで工事してたんだよね。
車線塞いで、ガードマン立たせて、向こうに行けるまであと何秒、なんて電光掲示板使ってるんだよ。
ガードマンが光る棒振って、「停車してください」って合図するから、そこでさ、運転してる俺の左足が突然震えたんだ。

停車したら、確かあと一分半みたいなカウントダウンが始まって、残り二十秒くらいの所で突然左足が痺れたって言うか、寒気が走ったような感じになって。
気のせいだろうと思ってたら、「拾いやすい体質」のMが、「今なんか物凄い寒気がした」なんて言うんだよ。
ヒーターをガンガンにきかせてるのに車内の温度がなんだか下がり始めて、そのうちMが「何かが隣に座って、耳元でうめいてる」とか言い始めて、結局小坪トンネルは諦める事にしたんだ。

バックミラーで見た限りでは誰も座ってなかったから、俺はまだそれが、思い込みだと思ってたんだよ。
幽霊の正体見たりなんとやら、みたいなもんでさ。

俺もガキの頃から、年に何回かはそういうの見ちゃう方で、もし本当に霊が居るなら見えてるはずだと思い込んでたんだよ。
で、しばらく車を走らせてたら、体の左側がやたらと寒くなっちゃって、でも俺は何も言わなかったんだ。
そうしたら、助手席のUが「今俺の右隣に居る」って言い出して、これはもう本当に拾ってきちゃったんだな、と。

慌てて車をはじに寄せて停めて、ハザードを着けて、皆慌てて車を降りたんだ。
左足が痺れてるくらいはなんとかなっても、万が一の何かが起こりそうだったから。

で、少し離れて見て初めて見えたんだよ。
なんだか赤黒くてモヤモヤしたのが動き回ってるのが・・・。

ヘッドレストより高い位置にはっきり動いてる頭みたいなのがあって、心の底から怖かった。

鎌倉から藤沢の方に走る道の途中にハードオフってリサイクルショップがあって、その少し手前に停車してたんだけど、五人とも夜中の二時半くらいに車の外でしばらく立ちっぱなしでさ。

ただ、三列シートの一番奥の右端に何かが居るのだけが見えてて。
一人だけそういうのまるで解らない奴がいて、物凄くテンパってた。

体が冷え切って震えが止まらなくて、でも車には戻れなくて、どうすればいいかわからなくなって、しばらくしてから、車の中の何かが見えなくなったから車に戻ったんだけど怖さは消えないままだった。

会社までとりあえずは何事もなく帰って(社用車だったから)一号線にあるファミリーマートで取り敢えず塩買って、全員と車を清めて、解散したんだけど、そのあと一人で自分の車で自宅まで帰るのが怖くてさ・・・会社の事務所で朝を待つことにしたんだ。

会社で飼ってる猫膝に乗せて、エロスな画像とか拾ってたんだよ。
精神的な逃げ場が欲しくて・・・。
神棚があるから、それも安心できる要因だったのかな。

しばらくするとさ、外で車のドアが開く音がしたから誰か居るのかなって。
でも間を空けずにまた閉まる音がした。
ただ延々とドアを開け閉めしてるんだよね、誰かが・・・。

滅多に大声で鳴かない猫が発情期でもないのにギャーギャー鳴き始めて、一度治まった怖さが振り返しちゃって、ただパソコンの前で凍り付いてた。

夜中の三時頃ですよ。
人気なんかまるで無い。
解散した同僚が俺を脅かそうとしてるのかと思ったんだけど、それも有り得ないと思った。
皆そんな事ができるような精神的な余裕なんか有る訳無い。

しばらくすると音が止んだから窓からこっそり様子を見に行ったら、社用車のまわりを赤黒い何かがうろうろしてるのが見えたんだよ。

しばらくその何かは社用車の周りをうろうろして、側の畑に躊躇いもなく入り込んで、近所の家の壁あたりで見えなくなった。
で、俺は六時過ぎまでそのまま事務所に居たんだけどさ。

まぁ、その心霊スポットとか突撃するのはいいけど、皆後悔しないようにな。
怖さも程々がちょうど良いよ。