仕事柄、料理の写真や飲食店の室内を撮影することがあって、そこであったほんのり怖い話。

場所バレすると不味いんで、フェイク入れながら話すけど。
そこは割と歴史ある大型中華料理店で、5階建のビル全てがその店になってる。
特にそこの3階に出るという噂があって、仲の良い店長や関係者から色々話を聞いた。

以下箇条書
■3階の一室だけ突然停電。停電後に、光った白い和服の女性が部屋に入ってきて消える。

■深夜誰もいない3階から1階の事務所に内線が入る。出たら、水が滴る音だけがする。

■部屋の下見の際にお客さまが見てしまう。(たいてい白い和服の女性)

■宴会予約の客が、屋上に首のない人間がいっぱい立ってるから入れないと言って入店拒否。

■飾ってあった絵に描かれた女性が店内を歩いていた。(複数人目撃)

・・・など。
お祓いしないの?と聞いてみると、一応はしてそれからはまだマシになったらしい。

クライアントからは3階の部屋を全面リニューアルしたから撮影して欲しいというのもの。
仕事柄、“ごくたまに変なものが撮れてしまう”ことがあるが、今日ももしかしたら写るかもな、と思いながら助手を連れて店へ。

現場は中休みの時間だったので客は誰もいない。
で、3階に行くと、そこだけ空気が膜を張ったみたいに湿っていて重い・・・。
試しに4階に上ってみると普通。
厨房はというと5階。

空調回ってんのかなと見ると、回ってる。
こりゃ本物かなぁ・・・と思いながら仕事開始。

リニューアルした部屋を順番におさえて行く。
ぱっと見だけだと変なものも写っていないので安心。

で、最後に一番奥の部屋に行こうとすると、「あ、そこはいいですよ」と。
その部屋だけリニューアルしてなくて、クロスも古いまんま。
なんでだろ?と思って聞くと、普段は使わない部屋になっているとのこと。
理由は、そこで頻繁に出るかららしく、どうしてもという時以外は封印しているのだとか。
まあ実際、開けて中見た瞬間に嫌な雰囲気のする部屋ではあった。

空気がさらに重い。
店やってて開かずの個室なんかもったいないな・・・と思いながら撮影は終了した。

帰り際、何も起こんなかったなーと思いながら階段を降りようとした時、後ろからついてきてる助手くんが、荷物をひっぱりながら何もない空間に頭下げて「ちわっす」とか言ってる。

出た後に「従業員の女の人に挨拶したけど無視されましたわー」とか言ってる。
どんな人か聞いてみると、「白い和服の女の人ですねー」なんて言ってるから、女性従業員はみんなチャイナ着てるだろ、と突っ込むのはやめて、「今度また撮影があったら、気づいてもらえるようにもっと大きな声で挨拶しろよー」と言っておいた。
助手くんは一連の話は知らないので、“ああいたんだなぁ”と思ってほんのりした。

余談で、元店長から聞いた話。
店には結構広い地下室があり、そこを倉庫にしているんだが、地下室へ向かう階段の途中、真ん中くらいの脇になぜかぽつりと窓が1つある。
もちろん開けても何もない。
何もないというか何かで塗り込めたような壁が出てくる。

ただ壁は薄く、向こうにどうやら部屋があるらしいが、もちろん入口はないし、図面にもない。
戦前は病院だったとか言う話で、それの名残かな?と店長は言っていた。

こういう店をあと2、3店知ってるが、不思議なのは割とガチでお化け出るのにどこも繁盛していること。
繁盛しているところには霊も寄ってくるのかもしれない。

神奈川県での話でした。