俺の兄の話。

1回生の頃、大学の近くの居酒屋でバイトをしてた。
個人経営の居酒屋だったので店員も少なく、店長や同僚とも仲が良かったらしい。

営業時間が終わった後もよく残った料理やお酒を皆で飲み食いしてまったりしてたそうだ。
で、夏休みのある日バイトが終わっていつものようにぐだぐだしてると、話題は怖い話になっていった。

その場に居たのは店長とバイト友達と兄の3人。
そこで兄はこの近くにそういうスポットがないか店長に訊いてみたらしい。
そしたら店長はニヤリと笑って「それがあるんだよ」と言った。

なんでも外国人共同墓地(普通の墓地だったかもしれん)が近くにあって、なかなか雰囲気がある場所だそうだ。
兄と友達は酔った勢いもあって喜々として向かった。

で、行ってみると、当然時間は深夜のため真っ暗。
気が大きくなった兄と友達はとりあえず奥に進んでみることにした。

兄と友達は「何もでねーww」とか言って大声で笑いながらずんずん進んで行ったらしいが、突然、何か音が聴こえたらしい。

よく聴いてみるとどうやらジャージャーという蛇口から水が流れる音のようだ。
そこで兄は少しだけ怖くなってきたらしいんだけど、とりあえず2人で音のする方に歩いて行った。

それからすぐに水の音が近づいてくるとその正体が分かった。
墓場にお供えようの花の水を替えたりするために水道があるじゃん?
そこの水が流れる音だった。

誰かが水道の前でかがみこんで、一生懸命何かを洗っていることだったって。

そいつから10mほど後ろに立った兄と友達は「うはっwwwまじで誰かいるよwww」みたいにまだふざけるだけの余裕があったらしい。

それから2人でそいつに近づいて行った。
墓地は明かりもなくて真っ暗なんだけど、近づいていくとだんだんそいつの輪郭も見えてくる。
後ろ姿だけどどうやら男のようで、上下スウェット姿だったらしい。

で、いよいよ2、3m位の位置まで近づいたとき男が何を洗ってるのかが見えた。

草を刈るようなタイプの、小ぶりの鎌だったそうだ・・・。

そこまで2人が近づいたのにそいつは最後まで振り向かなかったらしいので、顔は結局よく見てないそうだ。

兄と友達はさすがに黙りこくってしばらく身動きがとれなかったらしいけど、しばらくしてゆっくり目配せをしてその男から静かに離れたあと、一気に走って逃げた。

兄は「あれにはびびったわwww」と、笑いながらこの話をしてくれたけど、夜中に墓場の水道で何か洗ってる奴ってヤバいだろう・・・。