別れた彼女の話。

まぁ俺が遊び人だったってこともあって、ひどい振り方したんだよ。
なんで?って、泣きじゃくる彼女をヘラヘラ笑って罵倒してたんだ。

「お前が悪い、俺をつなぎ止めるだけの魅力がない」とか言って。

「忘れない、とか許さない!!」とか言い出したから、やばいかなと思ってそのまま彼女の部屋から出ていった。

それからすぐ、別の彼女見つけてよろしくやってたわけだが、なんかその頃から、ふとした瞬間にちょっと遠くの方から「ぎぃこ、ぎぃこ」って不快な音が聞こえるようになってさ。
音のする方見てもなにもないし、幻聴かと思って医者に行っても原因不明。
まぁ疲れてんだろ、ってことで気にしてなかった。

ある晩、新しい彼女連れ込んでやることやった後寝ようとしたら、また「ぎぃこ、ぎぃこ」ってのが聞こえる。
もう電気も消してたんだけど、さすがに気になったから電気をつけてみた。

そこにあったのは、別れた彼女が物凄い形相。
口中血まみれにして歯軋りしてる音だった・・・。
顔歪ませて包丁持って。

びびりまくって腰も抜けて、『あー刺し殺される』って思ったとき、彼女が歯軋りやめてこう言った。

「許さない。忘れさせない」

んで、自分で自分の首切った。
真横に飛ぶくらい勢いよく血が出て、彼女は操り人形みたくギクシャクしながら倒れてった。
警察と救急車呼んだあとはあんま覚えてない。

結局彼女は死んでしまって、警察には疑われたけど自殺ってことになった。
俺は遊びはやめたけど、真剣に人を好きになれなくなった。

今も「ぎぃこ、ぎぃこ」に近い音がすると、全身に悪寒が走る。