自分は鈴木花子(仮名)で父・太郎と母・春子の間に生まれて姉・夕子との二人姉妹。

幼稚園の頃に仲良しだった「あっちゃん」と遊んでた時に2人で階段から落ちて頭を怪我したことがある。
小学校2年の時に体調悪くて教室で吐いてしまったことがあってしばらくは「ゲロハキン」ってあだ名つけられて不登校になった。
一か月程度だけど・・・。

中学校では軽めの中二病にかかってこっそり自分専用の黒魔術の呪術書を作ってたら姉に見つかり死ぬほど笑われた。
好きな人もいたけど告白したりましてや付き合ったりなんてことはなかった。

高校では初めての彼氏が出来た。
けど1年くらいで別れた。
相手の浮気が原因。
それがちょっとトラウマになって高校時代の恋愛はこれで終了。
大学入学すぐくらいでサークルの先輩に一目惚れ。
猛アタックの末交際することに。

別れてくっついてを繰り返しつつも卒業と同時に彼と結婚。
2年後には女の子を出産した。
名前は私から一つとって花。
旦那は絶対女の子がいい!って言ってたからもう大フィーバー。
仕事帰りに毎日ロンパースだのおもちゃだのと買ってきて私に怒られてた。

っていうのが全部自分の妄想?の話だと気付いた時が修羅場。
本当の自分は鈴木花子でもなければ父は太郎でもないし母も春子じゃない。
姉なんて存在しないし、私の記憶にある思い出は全て起こってないことばかり。
そもそも自分は女ではなく男だった。

だからもちろん花を産んだりなんてしてるわけもない。

今はもうあれは頭の中で作ってしまっただけの世界のことだったんだと理解してる。
思い出や親兄弟のことは整理がついた。
けど娘の花のことだけが諦められない。

陣痛に苦しんだけど元気にオギャーと出てきてくれて、夜泣きがしんどかったけど母乳で育てて添い乳しなきゃ全然寝なくて。
ギャン泣きしたら自分が抱っこしなきゃ泣き止まないあの子が偽物だったなんて、そのことだけが信じられない。