おばあちゃんの家は東北の物凄い山奥にあって、隣の家まで数キロある。

ひぐらしみたいないい感じの田舎じゃなくて山の斜面にあって、築150年くらい経った屋敷。
以前は学校として使われていたこともあって、俺は子供の頃から怖くてイヤだった。
奥の使わない部屋には何故か天照大神の絵とかあったりして・・・。

俺のおじいちゃんが死んだのがお盆の頃の8月15日なのさ。
だからウチではお盆と爺ちゃんの命日とを同時に行うのさ。
もっとも爺ちゃんは俺が生まれた二年後の平成元年に亡くなったから俺は全く記憶にないんだが。

俺が小学生の頃のお盆、俺は家族とおばあちゃんの家にお盆に参った。
爺ちゃんの無くなった時間が確か午後八時半くらい。
晩飯を皆で食べていて、爺ちゃんの分も机に置かれていた。
そして、爺ちゃんのなくなった時間になったそのときだった。

机がガタガタガタガタと物凄い勢いで揺れだした。

家族全員ビビって、始めは地震かと思ったが他のものは揺れていない。
俺と姉はマジ泣きし、母さんや親父もビビっていた。
ふとそのとき、いろりの横にある廊下を、誰かがタタタと走っていく音がした。
「ケケケッ」とはっきりと高い声が聞こえた。
俺大泣き。

やがて声も音も聞こえなくなり、机も揺れなくなった。
皆が安堵しつつもパニックであった。
そのときブレーカーが落ちた。

俺発狂寸前。
普段は照れて嫌がるのに母さんに抱きつく。
母さんも泣き親父もパニック。
おばあちゃんは何故か冷静。

おばあちゃん:「まってな、今ろうそく持ってくるから」

暗闇に消えるおばあちゃん。
先にも述べたが家の周りは山。
林を風が通る音が怖い。
おばあちゃん何故か蝋燭持ってくるの遅い。

そのとき外で、救急車のサイレンが聞こえる。
おばあちゃんの家は斜面にあり、砂利道でコンクリートの道路まで数キロあり、救急車などはここまで来れない。
なぜかすぐ側に聞こえる救急車のサイレンがなかなか止まない。
家族四人抱き合ってひたすら時が過ぎるのを待った。
親父も自分の家なのに怖かったらしい。

今考えたら蝋燭じゃなくて懐中電灯持ってきて欲しかったよ。
ばあちゃんが蝋燭を持ってきた。
「南無阿弥陀仏」と書かれた。

俺それ見て泣く。

やがてブレーカーが直り、サイレンもいつの間にか消えていた。
家族みな放心状態だった。

おばあちゃんが言う。
「さっきのありゃじいちゃんの友達だねえ。子供の頃川で死んだ」

親父:「なんでわかんだ」

ばあちゃん:「さっき蝋燭取りにいったらじいちゃんがいてねえ、ケンゾウ君に悪戯するなって怒っておいた、って言ってたよ」

それ以来じいちゃんには悪いけどお盆の時期はおばあちゃんの家行かないようにしてる。