高校時代の話だ。

繁華街で買い物しバスで帰宅してるとき、俺の高校の前のバス停にセーラー服の女が立ってた。
だんだん近づいてくるとそれは俺だった。
俺がセーラー服を着て立ってた。

マジびっくりした!

何度見直しても俺だ。
髪が長くて女装してる俺。
そのセーラー服の女と目があった。
女は俺の顔を見て口をOの字にして驚いた。

お互い様だわ。

バスが停まった。
その女が乗ってきたらじっくり観察しようと思ったが、その女は俺の顔を見つめるだけで怖気づいたのか、乗ってこなかった。
バスのドアが締まりバスが発車した。
俺は窓から振り返り見てた。
向こうもずっと見てた。

道は直線じゃなく、緩やかなカーブでやがて視界から消えた。
カーブの先が次の停留所だった。
俺はそっこう降りて走って駆け戻ったが、もういなかった

その女の着てたセーラー服はもちろん実在の学校だった。
俺の高校の近所でバス停も共有してる。
だから親しいやつは何人も知ってるし、友人を通しても何らかの情報は手に入る。

でも、その女はみつからなかった。
だいいち、あんだけ似てれば何らか話題になるはずだ。

今思うとあれは違う世界で女に生まれてきた俺だったのかもしれない。