知り合いの話。

彼女は山菜を採るため、近場の山へちょくちょくと出掛けている。
途中にいつも腰を下ろして休憩している石があるのだが、そこで休んでいると、「やぁこんにちは。今朝も元気そうですね」と、決まってそう挨拶をしてくる何者かがいるのだと。

しかし、周りには人っ子一人見えない・・・。

彼女はいつものように、「はい、こんにちは。そちらも元気そうですねぇ」と何もいない空中に挨拶を返してから、山の奥へ向かうのだそうだ。

声の主については、彼女は特に気にしていないという。

「姿が見えないのはアレだけど、声の調子からすると、悪いモノじゃないよぉ」

そう言って笑っていた。