ガキの頃、親の実家に帰省したときの話。

都会育ちの俺(小1)を楽しませようと小6の従兄弟と叔父さんがカブトムシ捕りに連れてってくれることになったんだ。

叔父さんは仕事があったから俺と従兄弟は1度寝て、仕事から帰ってきた叔父と夜中に山へ出発した。

山のふもとには湧き水を汲む場所と車数台が停められる駐車場があり、そこに車を停めて3人で山の中へ。

懐中電灯と虫捕り網とカゴを持って山の中の舗装されてない細い砂利道をはしゃぎながらどんどん進んでたんだよね。

周りはもちろん木しか無く晴れて月が出てるとはいえ真っ暗で懐中電灯だけが頼りの状態。
叔父さんや従兄弟の知る穴場のクヌギの木の所までまだかまだかと歩いてると、道の先で何かボワっとした白いものがあったんだ。

しかも輪郭からして大人の背丈。

目を凝らして見ようとすると見えないんだけど、視線を外すと確かに遠くの方で白いのが光ってる。

従兄弟もそれに気づいたのか、一瞬立ち止まり「お父さん、なにあれ?」と。
そこで叔父さんも気づき懐中電灯で先を照らしだした。

光が弱く遠くの方までは照らせなかったが3人とも静かにして立っていると、何かが近づいてくる「ずっずっ」と言う音は聞こえだした。

何かが見えたのか?それとも何か思い当たることがあったのか、突然叔父さんが「おまえら逃げろ!車まで逃げろ!」って叫びだした。

俺も従兄弟も叔父さんが渡してくれた懐中電灯をがむしゃらに照らし泣きながら来た道を走り逃げた。

駐車場まで戻ってそのままそこで泣いてたんだけど、子供の泣き声に気づいたドライバーに警察まで送られた。

そして朝があけてから消防や地元の人も参加して捜索が行われたけど、叔父さんはついに見つからなかった。