ガキのころ毎年夏になると田舎へ行ってたんだ。

真夏の日差しが暑いけど、毎日外で遊んでたりした。

ある日、近くの幼稚園にいって遊んでたら、細い土管のような太いパイプのようなものを見つけたんだ。

頭ひとつ入るくらいの土管。

俺は都会育ちだから、そういう田舎らしいものを見かけたらそれで遊ばずにはいられなくて、それを覗いてみた。

俺は勿論幼稚園の壁が見えるだけだと思ってた。

奇妙な土管の中から見えたのは、周囲に似つかわしくない、暮れの畑とお地蔵様だった。
土管の先は夕方で、今いる場所は真昼なんて意味がわからなかった。

お地蔵様は不思議な表情で、たたずんでいた。

俺はその景色に魅入ってしまいずっと見つめてた。
そしてふと自分の方の世界へ顔を向けると暗くなりかけていた。

土管の世界の景色は変わらず夕方だった。
時間が存在しないように思えた。

その日は帰って、次の日も土管の所へ行った。

その先には勿論幼稚園の壁が見えた。
不思議な時間だったな。