今はもうやってないけど、昔は公道レースなるものに参加してた。
スタートからゴールまでを封鎖しての、ナイトタイムのイベントが全国に結構あった。

俺のホームコースでは交通量も無いし道も新しいし封鎖できるのに、イベントは全く無かった。
最初はその理由は知名度が無いからだと思ってたけど、実際はちょっと違った。

過去にはホームコースでもイベントがあった。
でも白旗と呼ばれる幽霊が出てからは無くしたらしい。

“それ”が出た時は事故が多発する。
並走は禁止にしてTAの時は予約制。
つるんで走るのは無し。

そういう決まりになった。

最初はこのルールを作った人達も信じて無くて、事故る原因を幽霊のせいにしてると思ってたとか。
不思議と死人が出て無いのが逆に信憑性を上げている原因でもある。

当時のクラブメンバーの副リーダーが事故に遭遇した話を本人から聞いた。
白旗が出る場所はなんの変哲もないゆるいコーナー。
でもそこは左右の山が切り取られていて、ガードレールの先は谷底なんだけど、草木一本無いし夜空だけがあるはずなのに、大きく白旗のようなものが急に見えるらしい。
それがコーナーのIN側だから余計目立って、対向車かと勘違いしてブレーキを踏んでスピン。

10年ぶりに実家に帰って、10年ぶりに山に登った。

白旗に会った。
白旗の正体は天女なんだと思う。

顔とかは見れなかったけど、ヒラヒラした物を羽織ってた。
でも動いて無かった。静止画みたいだった。
時間にして3秒くらいの間見えてた。

そのあとスッと消えた。