去年の夏に体験した話。

友人の田舎に、祖母が亡くなってから誰も住んでない家があるから別荘代わりに遊びに行かね?と誘われ、男ばかり3人(誘ってくれたAとオレとB)で2泊の予定で遊びに行ったんだ。

その家、母屋と離れがあって、Aの家族が法事とかで泊まる時は常に母屋で、離れはお客を泊める時位しか使ってなかったんだと。
で、母屋はAの祖母が生きてた時のまんまだからって事で離れを使う事になった。

造りは小さい台所と風呂、トイレ。
それに和室が2間。
男3人には充分だったし、金も掛からないから不満は全くなかった。

東京から車で1時間位の海沿いの場所で、目の前は海水浴場。
とりあえず年甲斐もなく海で遊びましたさ。

夜はBBQして酒飲んで、下らない話ししながらなんとなくみんな眠りに落ちてった。

夜中に尿意で目が覚めたオレ。
豆電球の灯りの中でAとBがイビキかいて寝てるの見ながらトイレに行ったわけだ。

トイレは和室から延びてる廊下の先。
見るとトイレの扉に付いてた磨りガラスから光が漏れてる。

誰かトイレに起きて消すの忘れたんだな?とか思いながら廊下の電気付けてトイレに向かったオレ。
で、なんの疑いも無く扉を開けようと思ってノブを回したんだ。

あれ?鍵が掛かってて開かない?

ガチャガチャ回してもやっぱり開かない。

半分寝呆けてたから、ノックして「入ってますか~?」って言ってみても反応なし。
こっちは小便してさっさと寝たいのに、早く出ろよ~とか言いながらまたノックしたんだ。
そしたら磨りガラスの向こうで何かがユラ~って動いた。

ようやく出るのかって思った瞬間、何故か意識がハッキリして、『友人はどっちも寝てた、誰もトイレに入ってない。ここに居たら見たくない物を見ちゃう!』って強く思ったんだ。

急いで和室に戻って電気もつけないで2人を叩き起こした。

一方的に一部始終を話したけど2人とも急に起こされたせいか、寝呆けながら「怖い話?フ~ン」だの「ネタで起こすなよ」とか言っててさ。
こっちはガクブルしてんのに、なに?この温度差。
でも起きてるのが1人じゃないってだけで幾らかホッとしたのは確か。

Aがブツブツ言いながら電気つけようと立ち上がろうとした瞬間、廊下の方からバン!って何か叩く音が・・・。
3人して固まりましたよw

で、3人無言。
そしたら廊下の方からガチャ・・・ガチャってノブ回す音がすんの・・・。

襖開けっ放しで、廊下の明かりが差し込む中で男3人が完全にビビってるのが丸わかり。

そのうちBが「俺見に行く。入り込んでる浮浪者かもしんね~し」みたいな事言って何故か枕抱えて部屋出て行こうとするから、仕方無くオレもAも何故か枕抱えて襖から廊下へ。

その間もノブ回す音と、遠くで波の音も聞こえてた。

廊下の先、トイレの磨りガラスからは確かに明かりが漏れてる。

ノブは・・・動いてる。

と、Bがスゴい勢いでトイレに向かって「ふざけんな!」だの「出て来い!」だの叫びたしたんだよ。
オレはそれにビックリして呆気に取られてたんだけど、いきなりトイレの電気が消えた。

ビックリして動きが止まるB。
見るとAがトイレの電気消してやがった。

しばらくそのままの状態が続いた。
Bの手はまだノブを握ったままだったんだけど、急に「あれ?」って言ってドア開けやがった。
「開いちゃった」とかいいながら。

廊下の明かりに照らされたトイレには誰もいない。
何もなかったように便器様がそこにあるだけ・・・。
窓は少し開いてるけど、格子があって人は通れない。

波の音と虫の鳴く音。

暫くの沈黙の後、Aが「寝呆けてたんだよ。酒も入ってたし」みたいな事を言って、オレもBも「そうだよな~」って笑って終わりにしたわけだ。

で、Aは部屋に戻りBが俺小便してから寝るわって、持ってた枕をオレに渡して先にトイレに入りやがった。

オレもしたかったから廊下で待ってたんだけど、いきなりついてた電気が全部消えた。
トイレの中のB、和室のAから軽い悲鳴。
もちろんオレも。

「・・・カワリニシンデ・・・」

男とも女ともとれない、か細いんだけど低くて異質な声が真っ暗な中、ここって場所はなくて家全体から聞こえてきた。

完全パニック。
たぶんBが1番怖かったろうな。

その後すぐ電気はついたんだけど、もうダメ。
3人涙目。

すぐに帰りたかったんだけど酒入ってて車の運転はできないし、かと言って部屋の中には居たくない。

母屋も嫌だ。
仕方無く浜辺で朝になるの待ち、明るくなってから部屋に戻ったんだ。

その後は落ち着いたからか、寝不足だからか、妙に冷静でいられてトイレをマジマジと調べてみたんだよ。

でも変な所も何もない。
結局なんだったのかはよくわからないけど、二度と行きたくないわ。