兄夫婦には小学生の長男がいるんだが、その子がまだ赤ん坊の頃、兄夫婦は都下のM市に住んでいた。
そこからうちの実家は、歩いて10分程度の距離。
よく運動がてら義姉が赤ん坊連れて遊びに来ていた。
その頃に起きた不思議な話。

ある日もいつものように甥をおぶって義姉が訪ねてきた。
赤ん坊がぐずっているので、母が手伝い、背中からおろして寝かせようとした時、おんぶひもが千切れかかっているのに気づいた。

母が、「あら?これどうしたの?危ないねぇ。」というと、義姉の顔色が変わり急に座り込んで泣き出したという。

その日も家の中の用事を済ませて義姉は家を出た。
いつも線路沿いの同じ道を通るのだが、ある地点にさしかかった時、線路上のはるか遠くの方に、こっちに向かって歩いて来る人影が見えた。

何となく変な気がしたが、整備の人だろうと思った義姉はそのまま赤ん坊をあやしながら歩き続けた。

何気なく見ると、さっき遠くの方に見えた人影がいつの間にかすぐ目の前の線路に立っている。
義姉は一目見てとても変だと思った。

”それ”はきちんと茶色っぽい背広を着てネクタイもしているのだが、妙なのは首のかわりに、鯉のぼりの吹き流しのような細長い赤い布が何本もついていてそれがひらひらと風になびいている。
義姉は”それ”が自分達をじっと見ていると感じたそうだ。

すると突然、おぶってた赤ん坊が火のついたように泣き出した。
義姉が我に返るともう”それ”はいなかった。

ビックリしたが、霊とかそういう感じがしなかったので見間違いだろうと自分に言い聞かせたそうだ。
そのまま家に訪ねて来たのだが、千切れかけたおんぶひもを見たとたん、怖くなって泣いてしまったんだという。

そのおんぶひもはまだ新しくて、かなり丈夫な素材で出来ていたし、安全性のためかなりの負荷にも耐えられる作りなので、何かの拍子に千切れるような物ではなかった。

家を出るときには間違いなく、そんな風になっていなかったそうだ。
まるで、もの凄い力で引き千切ろうとでもしたかのように繊維が延びてほどけ、もう少し力を加えればブッツリ逝きそうだったという。

この話は母と義姉両方から聞いたんだが、甥も全然元気で、それ以降は別に何も起こっていない。

でも話を聞いて以来その道を通るの気味悪い。
人身事故も多い沿線です。