小学校の夏休みにオヤジの故郷で1ヶ月位暮らしたんだ。
兵庫県の加古川ってとこだ。
今は知らんが、その頃は田んぼや畑ばかりでのどかな場所だったよ。
ところがなぜかしら田園風景が広がるど真ん中にバカデカいボーリング場が建ってたことを記憶してる。

で、そんな微妙な自然に囲まれた場所で毎日アメザリやオタマを漁師のように捕ってたわけだ。
毎日、バケツ一杯アメザリやオタマを持ち帰っては用水路にリリース。
翌日も大猟にして用水路にリリース。
翌々日も以下同文。

もはや自分でも何故オタマやアメザリを捕りに行くのか分からなくなってた。
ガサガサを通じてある種のトランス状態に陥ってたと思う。

・・・で、突然、なぜかしら突然・・・バケツの内壁に貼っ付いてる大量のオタマジャクシが不意に気持ち悪く見えた。
あの時、受けた感覚を何と説明すれば良いのか・・・。

あらかじめ頭の中に収容できるオタマジャクシの総数が決まっていて、あの時、オタマの数が臨界点に到達して頭の中で位相の総転移が起こったと言うか・・・。

とにかく突如としてさっきまで誇らしく思ってた獲物が、何かとても気味が悪いモノに変異したんだ。

あんまし上手く説明できなかったけど・・・奇妙と言うより不気味な体験だ。