中学の頃、山の尾根の上にある学校に通っていた。

放課後こっそり屋上に出て何人かで遊んでいたら、裏山から風が降りてきた。
始めは、冷たい風だなあとしか思わなかったのだが、突然、その風がものすごく気持ち悪くなった。
うまく説明できないのだが、ヤバイとしか言えない。

もう帰ろう、と言おうとしたその時だった。

一緒に遊んでいた女の子の一人が、ケラケラ笑いながら屋上の縁のフェンスを越えてしまった。
慌てて皆で彼女を引き戻したが、彼女の顔は目がつりあがって正気じゃないようだった。

「しっかりしてよ!」

彼女の友達が何度も揺さぶって、その子は正気を取り戻した。
その後、すぐ屋上を出て下校した。

風はもう止んでいた。

「なんやあの風、気色悪かったな」

同じ方向に帰る友達にそう言ったら、友達は「そうか、自分もそんな感じしとった」と言った。