小学校三年の時の夏前の出来事。
あとで考えたら日曜だったんだろうな。

クラス替えで新しく友達になったI君。
I君の家のすぐそばに小さな工場と空き地があった。
その工場をI君は「お父さんの工場(こうば)」と呼んでいた。
よく工場の横の空き地で遊んでいたんだが、工場がいつもガンガンと大きい音を立てていたのを覚えている。

その時、2人は昼なのにロケット花火を飛ばして遊んでいた。
そして私がしゃがんでジュースのビンに花火をセットしていた時のこと。

私の顔のすぐそばを「ブンッ!」だか「ビュッ!」だか何かが高速で通りすぎるのを感じた。
錯覚かもしれないが熱も感じたように思う。

当時の経験ではカナブンやセミとすれ違ったような感じだった。
もっと高速だった・・・。

私は興奮し「今なんかすごいのが通った!」と叫んだ。

何かスゴイ虫が飛んでいないかI君と探したが何も見つからず、また花火で遊んだ。
それから何日かしてI君は転校した。

彼自身、お父さんが病気で急に決まったと言っていた。
寂しかったがすぐにそのことは忘れてしまった。

それから何年かして私は中学生になり、同じ小学校の友達と昔話をしていた時、たまたまI君の話が出た。

実は彼の父親は改造拳じうを作って暴◯団に売っていて捕まったそうで、I君はそのために転校したらしい。
全然知らなかった。

それから大人になって気づいた。
あの時、私の横を通り過ぎたのは、恐らく暴発したじう弾なのだろうと。

確証はないが、あのじう弾がI君の父の逮捕に繋がったのではないか?
だとすると私にとっては洒落にならない怖い話。

しかし、私の父は戦時中、川崎の工場で働かされていて空襲に遭い、入り損ねた防空壕に爆弾が落ちて生き残ったって言ってたから、それに比べれば大したことないかも。