高一の時、俺達ミリタリーヲタグループは毎週サバゲーに明け暮れていたんだが、その年の夏休みにキャンプ&肝試し&夜間サバゲー大会をやろうということになり、富士の樹海へ一泊旅行。

樹海のそばにある土産物屋で迷彩服姿の俺達6人は食料を買い込み、店のおっさんの忠告を無視、生命の電話の看板を横目に樹海へ。

3時間近くサバゲーをして、段々と辺りも暗くなってきたので一旦ゲームは終了。
テントを張り、火を起こしみんなで夕食を囲む。

夕食後にまた敵味方3人ずつに分かれ、夜間サバゲーを始めた。
まず敵グループ3名がライトを照らしながら真っ暗闇へと消えていった。

ゲーム開始は敵グループが藪へ潜んだ10分後なのだが、なぜか10分もしない内に敵グループが戻ってきた。

何があったのか聞いてみると、敵グループ3人全員が引きつった顔で、「潜んだ藪の先から念仏のような低い声が聞こえる。やっぱ、ここは洒落になんねぇよ・・・やばいぜ、帰ろう・・・」と言ってきた。

全く信じてなかった俺達のグループは「何言ってるんだよ・・・」と思っていたが、次の瞬間、全員が静まりかえった。

樹林が覆い繁る真っ暗闇の先から確かに「ウゥウゥウゥ」と唸るような声?が聞こえた。
その場にいた6人全員が聞いていた。

野犬がいるのだと思い、胸にぶら下げているライトをみんなで声の方へ照らしたが誰もいない。

しかも、段々とその声が大きくなってきたので、明らかにこちらへ近づいてくるのがみんな分かった。

恐怖で凍りついたのは、その声が近づいてくるのにも関わらず、草木に触れる音が全く聞こえないことだった。

まるで沢山の坊さんが一斉にお経を唱えてるような声がすぐそばまで近づいてきた。
余りの恐さで声の聞こえる方向へエアガンを撃つことさえ思いつかなかった。

みんな半泣き状態のまま、素早くテントや荷物を急いで片付けた。
そして一目散に樹海の入口まで行き、シャッターの閉じた土産物屋の店先へ辿り着いた。

あの声は明らかに動物の唸り声でも機械のモーター音とも違った。