俺の住んでるところは田舎なんだ。
学校は山と山に挟まれてたりするようなところ。
それでも結構楽しくて、山を見てるとわくわくしてくるんだ。

その時も、友達と歩いてたら凄く惹かれる山があった。
それは山って言より山を背景に古い建物が立ってるんだけなんだけど・・・。
そういう田舎!って感じの風景や建物が好きな俺と友達は脇道に入ってそこを目指すことにした。

その道は少し広めの道路から小道に入って行くんだけど、ちゃんとコンクリートで出来てて整理もされてるしすぐ横には家も建ってる。
ただ、家とその道の間はコンクリートの壁で隔てられてるけど、唯一不思議なのは人の気配がしないってことだけ。
まあ平日の昼間だし、仕事とか出かけてるんだろうな・・・くらいの気持ちで俺と友達はコンクリートの壁に沿って奥に進んでいった。

途中で車が俺達を追い越して行ったし、掃除機の音も聞こえてきた。
人がちゃんといることに安心してどんどん奥に進んでいった。

でも、なんか違和感を感じるんだよ・・・。

家もあるし掃除機の音もするんだけど人の気配を感じない。
それなのに誰かに見られてるような感じがした。

でも、不思議な違和感が俺達を興奮させた。

「ここ怖くね、金田一の八つ墓村みたいじゃね」なんて話してたw

盛り上がりながらそのまま道なりに進むと、行き止まりだった。
行き止まりは大きな家になっていた。

その家は、家っていうより屋敷に近い感じの大きい家で、本当に何かの一族なんじゃないか?って思えるほどだった。

友達と「こんな田舎にこんな一族並のデカい家があったんだな・・・」とか、「今まで通ってきた道に建ってた家って全部この家の物じゃね?」と興奮気味に友達と盛り上がってた。

だって、今まで辿って来たコンクリ―トの壁は、目の前の屋敷の門になっていたんだから、そう思わずにはいられない。
門って言っても柵の扉はないんだけど・・・。

で、二人でこんな不思議な場所に来たことに対する興奮をぶつけ合ってると、急に掃除機の音が止んだ。

そして、さっきまでの見られてる感じがまたしたんだ。
見られてるっていうか、監視されてるような・・・俺達の様子を窺ってるような、そんな感じ。
しかもそれは一人や二人なんかじゃなくてもっと大人数に感じた。

人の気配はしないのに息が詰まるような緊張感と視線。
それにはさすがに俺達もビビったし、この場から離れなきゃいけない!と感じた。

怖いっていうより、気持ち悪いに近い感覚だったな・・・。

それからは友達と逃げるように来た道を戻った。
広い道に出てからは友達とその場所の話で盛り上がった。

生活感も人の気配もしない、物音も掃除機の音だけ不思議な所だったから「やっぱり何かの一族なのかな?」って話してた。

その後、バイト先のお客さんにその話をする機会があったんだ。
その話をしたらやたらとその場所を聞かれて、◯◯店の後ろの山じゃない?近くに◯◯公園があるところじゃない?って適格に目印になる物を当てられて、吃驚したのと同時にあの家の情報が聞けるかもしれないって思ってそのお客さんにその家って何かあるんですか?って聞いたんだ。

そしたら、そのお客さんが言うには俺達が入ってった所は某◯教の教祖の娘が住んでる所だったらしい。

その話を聞いた瞬間ほんとにゾッとしたよ。

知らないってことは本当に怖いことだと思った。