母は4人姉妹の末娘で、長女以外の母姉妹は曾祖母とよく口喧嘩をしてた。
曾祖母からしたら跡継ぎ以外は、よそにお嫁にいくために厳しく(曾孫の私たちには激甘)してた名残で、母姉妹も子どもの頃と同じように反抗してただけの微笑ましいものだけど。

また何かで母姉妹が曾祖母に言い返したとき、曾祖母が『私が死んだら脅かしに出るよ・・・ふふ・・・』とわざと気味悪く笑った。
曾祖母はお茶目なところもあって姉妹が怯えて騒ぐのをニコニコ見てる人だった。
私たち曾孫は何も気にとめずにいた。

母姉妹は4人とも結婚出産をして離れた土地で暮らしていたけど仲が良かった。

ある日の夜、洗面所から、砂袋のような重いものが上から落ちたようなドサッという大きな音がした。
母の顔がひきつって父が様子を見に行ったけど何も異変はない。
母の顔がますますひきつって『お婆さんが亡くなったかも!』と言った時に三女である叔母から電話。

叔母は縁側でやはり砂袋が落ちるような音を聞いて、うちでも同じ事象があったら曾祖母が亡くなったということだと思ったらしい。
その後、次女からも同じ内容の電話。
そして30分後、曾祖母と4世代同居してる長女から『曾祖母の息と意識がなく医師から死亡診断され警察がきている』と連絡があった。

曾祖母が『脅かしに出る』と言ったちょうど半年後で、じつは『天井から降りて大きな音で脅かす』と言っていたので、母達はすぐに、曾祖母が亡くなって本当に脅かしにきたと思ったらしい。

通夜の前日夜に親族が曾祖母宅に駆けつけ、母達はまた例の音の話で盛り上がり『死んでも悪戯するなんて意地悪だわ!』と軽口を叩いていた。
すると土間の引き戸がガタガタ開く音がして、そこにいた全員がビクッとして黙り一斉にそちらを見た。

古い旧家で広い土間の中に漆塗りの大きな木造の引き戸があってその戸に更にくぐり戸があり、そのくぐり戸は曾祖母しか使用しなかったけど、それを開ける音だった。

祖母が『ほら、お婆さんが気を悪くしてるからやめなさい』と母達を諭したけど母達は『また気持ち悪いことして!本当に性格の悪いお婆さんだわ』と、幼少時からの曾祖母との攻防エピソードで盛り上がった。

大きくて古い神棚が3つ(家、台所をそれぞれ護る)あったけど今度はそれが、そこだけ地震が起きているように揺れてガタガタ鳴り始めて、燭台や茶碗が落ちてきた。

祖母が『お婆さんに謝りなさい!亡くなった人を悪く言うもんじゃない!』と怒り母姉妹が手を合わせ『ごめんなさい。怖いからやめて』と謝ってやっと曾祖母の暴走はおさまった。

当事者の1人(当時小3)としては霊の存在が確定されたようで本当に怖かった。