よく、縁起がよいものとして松竹梅などといわれますが、私が体験したのは逆松竹梅。

当時、父は仕事のため郷里を離れ、東京で私と一緒に(家賃を浮かすために同居)アパート住まいをしており、週に一回郷里(実家がある)に帰るルーティーンで生活しておりました。
私は、父のように毎週実家に帰ることもなく東京に居続けていたので、この話は後に母から聞いたものです。

その年は、新年早々、実家の庭に植えてあった松の葉が枯れ、竹も枯れ、母は「何だか縁起が悪いね」と思っていたそうです。
実家の庭に梅の木は植えてなかったのですが、ある日母が梅干しをつけ込んだカメを開けてみると、びっしりと白いカビで覆われていたのだそうです。
母は、毎年梅をつけ込みますが、こんなことはかつてなかったという話でした。

冗談のようですが、これで松竹梅の三つがあぼーんされてしまったわけです。

ほんと、冗談だったらよかったのですが、その年の夏に父が発病。
胃潰瘍らしいということで入院、手術、結果は手遅れの胃ガン。
開腹してそのまま縫合してしまったということです。
手の付けようがなかったとか・・・。

もって、来年の3月までという宣告を下され、父には病状を隠したまま転院という形で郷里の病院へ移しました。
そして、父はその年を越すことなく他界。

お葬式の後、その家の主の運命を暗示していたのだと、母は逆松竹梅の話を語ってくれました。