以前いた会社は印刷関係だったので深夜までの残業や徹夜は珍しくなかった・・・。

深夜、写植用の暗室を使おうとしたら中からガサゴソと音がする。

(あれ?使用中札出てないのにな・・・)

「◯◯さん?」

私がそう聞くと「うん・・・」という返事。

(使ってるなら札を出さなきゃ開けちゃうのにな・・・)

なんて思いつつ、席に戻って・・・。

(はっ!今残ってるのは私とKさんだけだ!)

そう気が付いてビビった。
当然、暗室には誰も居なかった。

その数ヶ月後、やはり深夜残業中にデスクの後ろの棚からモノを取り出して作業。
何度目かに棚を振り返ったら棚のすぐ脇の衝立ての上に男性の顔がチラリと見えた。
咄嗟に背の高いHさんだと思い、「お疲れ様でーす!」と言ったけど、そのまま、すぅ・・と歩いていった。

(遅いし、疲れてるんだ)と思った。

翌日になってからその衝立ての上に顔を出すには身長2.2mは必要だと気が付いた・・・。
もちろん、Hさんは残業してなかったのだった。

あれは嫌な体験だった。