東京で生活していたときに研修で大阪支店に呼ばれました。

私は大阪の梅田の近くにあるホテルに宿を取ったのです。
寝ようと思って横になってしばらくしたら、入り口のドアを開けて“何か”が入ってきたような気配を感じました。

私はおかしいと思って、体を起こそうとしましたが、金縛りに遭って動くことが出来ませんでした。

もがいて体を起こそうとしている間にも、何ものかはじょじょに私の方に近づいてきました。
そいつが少しずつ私のベッドに近づくにつれて、体中の毛が逆立ってきました。

ちょうど、静電気が体中から発しているような感じになりました。
体は動かないので、必死で身を捩って体を起こそうともがいていると、どうやら口だけは動くようになって、大声で「だぁーっ!」と叫んだら、そいつは一瞬にして消え去りました。

すると体は何もなかったかのように動くようになりました。
何とか起きあがり、すぐにルームライトを付けてベッドの脇の大きな鏡を覗き込みました。

そこには髪の毛をすさまじい勢いで逆立て、真っ青な顔をした見たこともないような恐怖に歪んだ私の顔がありました。

あのまま声を出さずにいたら、奴に殺されていたかもしれません。
あの邪な奴は一体何だったんでしょうか。

あれが霊体験だったのか、単に疲労のなせるものだったのかは判りませんが、私があの日ホテルで感じたことは事実です。