祖母から聞いた話です。

祖父が若い頃、親戚の人と二人で車で山道を走ってたそうな。
その山は通称『ぞう山』。
象に似た形の山でさほど大きな山じゃない。

祖父の実家は象山の近くにあり、親戚の人を送っていくとこだった。
ふと見ると、バックミラーに髪を振り乱した女がすごい勢いで追い掛けて来るのが映ってた。
その女は行けども行けどもついてくる。
祖父たちは必死で車を走らせた。

なんとか振り切ることができたが凄く気味が悪くなり、二人は祖父の実家に逆戻りした。
親戚の人は怖くて帰れなくなり泊まっていったという。

結局、その女が何だったのかは謎である。
象山で他に怖い話はないようだが、小さい頃は象山と聞くだけで震え上がったもんだった。

もう一つ。
夜、怪我人を担架に乗せてある山を越え、ふもとについたら怪我人が死んでいたということが何度かあったらしい。

運んでいる間に狐がカサブタを食べに来て、食べられると死んでしまうという。

しかし怪我人が油揚げを持っていると、狐は油揚げだけ食べるので、無事に山を越えられるとのことだ。