男5人の零細企業の忘年会で温泉へ行った。
温泉と言っても社長の親戚の家で、家の人はハワイに旅行中とかで建物には我々5人しかいなかった。
お風呂場だけお金取って入れるシステムだった。

社長を除いて4人でサウナに入って喋っていたら、急にドアが開いて、70歳くらいのオバチャンが黒色のスプレー缶を持って入ってきて、部長の股間へ向けて一発スプレーを噴射した。

「的が小さいから一発で済んだわ」

そう言ったと同時にケタケタと高笑いし、ドアを開け出て行った。

呆気にとられた我々は何が起きたか、ほんの4~5秒のことで声も発せなかったが、すぐに社長が全裸でそのサウナに入ってきたので、皆堰を切ったようにどもりながら喋りだし訴えた。

「そんな奴知らんぞ」と社長は我々4人に一喝するが、よく聞くと皆が見た人物と、俺が見た人物が微妙に違うことに気づいた。

お爺さん、30代くらいのお姉さん(超ブス)、40代の消防士のおっさん、カラオケのマイク、緑のメガホン、消火器・・・。

「男同士で何しとるんじゃ!」
「私のオスカルはどいつよ!」
「火遊びする奴は許さん!」
など・・・。

もちろん、部長の股間は黒くなっていなかった。

しばらくしてその家は台風で壊れて、でっかい温泉風呂になった。
会社はその日以来、事業は大成功して125名の中小企業に成長している。
ちなみに部長は当時40代で結婚10年、子宝に恵まれず不妊治療してたが、翌年男女の双子が生まれ、数年後再び男女の双子が生まれ、一気に子宝に恵まれた。

不思議なことに、4人の中でこの怪現象を覚えてるのは俺一人だ。