俺は2年前まで下新城のアパートに住んでたんだけど、怪現象に悩まされてたよ。

ロフト付の洋風木造アパートで見かけは普通。
1棟が6室で2階建て。
同じようなアパートが「コ」の字型に4棟並んでた。

俺は2階の角部屋。
入居した時はテレビのアンテナが引いてなかったり、ロフトの絨毯に長い髪の毛がたくさん張り付いてたりしたけど、管理会社が杜撰だなとしか思わなかった。
他の部屋が家賃7万なのに俺は6万2千円にしてくれた原因はコレなのかと。

コンポの電源が勝手にオンになって大音量でCD流れてきたり、PCの音量がいきなりMAXになったり・・・。
この現象は俺一人の時には起こらないんだけど、友人を呼んで話し込んでる時に起きてた。
遭遇した友人達はビックリしてたものの電磁波かなんかの影響だってことで気にしなかった。

また、うちに電話を掛けてきた友人達の話では、知らない女性が電話に出て「彼はまだ家に居ません」と言って無愛想に切るそうだった。

友人達とは部活(体育会)で毎日顔を合わせてたんだけど、調べたら7人から同じこと言われたよ。
7人とも彼女が俺の家に来てるんだと思ってたらしい。
同棲してんだろ?って言われたけど、俺まったく女っ気なかったし。
番号は合ってるし女性が電話に出る日は不規則だった。
俺は何より「まだ」ってとこが怖かった。

女性の霊が居るかも・・・って真剣に怖くなり出した時期に起きた決定的なことが。

ある夜、後輩から次の日の集合時間を確認する電話があった時だ。
ロフトに敷いた布団で寝ようとしてた時に電話をもらった俺は、ダルい感じで後輩と話してたんだが、いちいち俺達の話に相槌を打つ声がする。
確実に話を聞かれてる。

女性の声だ。

「あぁ明日は1時間前に来といて」

「ふーん・・・」

「はい、わかりました」

最初は小さい声だったので、後輩の部屋のテレビの音かと思ってた。
ただ後輩もその相槌がずっと気になってたらしく「さっきから女の人の声が聞こえるんですけどw。◯◯さん、同棲してるって噂ホントだったんですか?」と聞いてきた。

その瞬間・・・。

「ふーーん!」

鳥肌が立った。
声は俺の真後ろから聞こえてる・・・。
電話を通して聞こえる声じゃなかった。

とっさに後ろを振り向いたものの、そこは壁だった。
壁の向こうは外だ。

ここは2階だ。
そして「コレだ・・・友人達が言ってた女性って・・・」と確信した。

怖くなった俺は後輩に「いや・・・テレビの音だよ・・気にするな・・・」と誤魔化した。

きっと俺の真後ろに女性の霊がいる。
それを後輩に話したくてもそれも聞かれてるはずだ。
電話を切ったあとに何されるかわからなかったから。

結局電話を切る直前にたまらなくなって、「実はな、さっきあの声はテレビの音だっていったけど・・・」って全部話した。
後は部屋の電気を全てつけて近くのコンビニに出かけ、落ち着くまで過ごした。

その後怪現象は続いたものの女性の姿自体は見えず、物理的に危害を加えられることは無かったのであまり気にせずに過ごし無事卒業した。
ロフトはどんなに丁寧に粘着テープで掃除しても、長い髪の毛がわんさか着いてきたけど・・・。

2年前に引っ越したけど、心霊好きな人にはたまらない物件だったんじゃないかな。