山守から聞いた話。

山の見回りをしていると、時おり見かけるのが、木に釘で打ち付けられた藁人形。
気分が悪いので、見つけ次第引っ込ぬいて土場で焼いてしまう。

抜いた跡が腐ることはなく、木が枯れることもないのだが、いざ切り倒してみると、釘の刺さっていたところを中心に、数メートルに渡って幹が真っ黒に変色していることが稀にある。

「呪いだか何だか知らんが、他人の商品に傷付けるとは太え野郎だ」と憤慨する彼のもとに、今のところ災いは降り掛かっていないようだ。