3~4年前の話。
私の住んでいるマンションは、非常階段から廊下はスモークガラスにより遮られていて直接見ることはできません。
ただ、廊下内には蛍光灯があるため階段からはガラス越しにシルエットにより人の影を確認できます。

ある日、階段の7階にて友達と遅くまでずっと話をしていました。
周囲の明かりは廊下の蛍光灯と月明かりしかないような時間です。
向き合うかたちで、私は景色を、友達は廊下を背にするように座ってます。

すると、スモークガラスに影が映ったのを確認できました。
しかし、エレベーターから自室に移動する際に住民が廊下を通過するのは当然なので、私は友達に「人が来るから静かにッ・・・!」と囁きました。

夜中、階段にひっそりと座る二人は明らかに不審者なので、気付かれないためです。
影は、エレベーターのある場所から階段方向に向かってスーッ・・・と移動してきます。

そして影がガラスの端と階段の境目まで移動してきたため「階段に来るのっ!?」と焦って身を屈めたところ・・・階段に人が現れません。

ガラスにはすでに影もなく引き返したとも思えません。
友達に説明すると、案の定、気まずく冷たい空気になってしまったので、その日は解散しました。

しばらくして、この出来事をすっかり忘れていた頃。
私の兄の彼女は、“存在”を感じる程度の霊感を備えているらしく、兄からの話では彼女曰く、「7階には子供の霊を感じる」らしいのです。

思い出しました。
あの日、階段での出来事を。
その時感じた違和感も理解できました。

それは「夜中なのに子供の影だった」ということでした。