小学生のころ通っていたスイミングスクールの近くに寺があった。

いつもそのスイミングスクールから帰るころは夜になっており、その日は夏の雰囲気も手伝って、ついその寺の敷地に入っていってしまった。

まぁ、最初は「こえーーー」とかいって入り口近くで逃げ出していたのだが、三回目にもなると慣れてしまい、ついに奥の墓地の入り口まで行ってしまった。

直後、妙な感覚を覚えさすがにヤバイと感じて逃げるように自宅に帰った。

その数週間後、母の運転する車に乗っていると普段運転中もうるさい母が妙に静かなことに気づく。
そのまま車は交差点へ、しかしブレーキをかける気配がしない。
前にはクロカン系の車、大声で「前っ!前っ!!」と叫ぶと母は我に返ったようにブレーキをかけた。
そのときは幸い、お互い車に傷がついた程度ですんだ。

しかし、それ以来妙なことが続くようになった。
従姉弟が骨折で全治二週間になったと思ったら、今度は親父が急に会社で倒れ、そのまま胃潰瘍で1ヶ月入院。
さらに叔父が車ごと山道から落ちかけるという事件まで起きた。(車が木に引っかかって叔父は軽傷だったが車は買い換え)

明らかに程度がひどくなっている。
そして・・・その年の秋の終わり頃、夜遅くにかかってきた電話は、従兄弟が交通事故で意識不明の重体になっているというものだった。

最終的にその従兄弟は助かったが、いまだに障害を残す身である。

その後家族で御払いに行き、それ以来は特になにも起こってはいない。
ちなみに、墓地に侵入したことはいまだに家族には言っていません。