戦時中に婆ちゃんが体験した出来事です。

昼間に畑仕事をしていると、米軍の戦闘機から機銃掃射されることがあるので、婆ちゃんはいつも夜になってから畑に出ていたそうです。

いつものように、婆ちゃんがお寺の参堂の脇にあるトウモロコシ畑で収穫作業をしていると、ハッキリとした声でお経を唱える声が聞こえて来たので誰かが亡くなってお通夜でも始まったのか?と思いお寺の方を見てみると、真っ暗でお通夜などやっている様子は全くなかったそうです。

と同時に読経の声も止んでいたので「空耳だったのかな?」と思い、作業を終え家に帰ってすぐに寝床に着いたのですが、しばらくしてふと目が覚めると、あわただしくお寺の参堂を行き来する人の足音と話し声が聞こえ、本堂からは読経の声が聞こえて来たそうです。

婆ちゃんは、「やっぱり誰か近所の人が亡くなって、お通夜をやっているんだろう」と思い、翌日お寺へ御供物を持って行き、住職に「夕べはどなたが亡くなったんですか?」と聞くと、「いや、誰も亡くなっとりゃぁせんがのぅ・・・」と言う答えが返って来たそうです。

で、昨晩のことを住職に話すと「夜中に経などあげとらんよ。たぶん仏様が、この戦争で沢山の命が失われることを悲しんでおられるのだろう」と言われたそうです。

怖いと言うより、不思議な体験でしたね。

失礼しました。