婆さんから聞いた話。
俺の爺さんは南極に鯨を捕りに行っていた。
しかし、太平洋戦争が始まって行けなくなったので、地元に帰って漁師を始めた。
ある日夜釣りをしていたら、船のオモテに人影の様なモノが立っていた。
当時の漁船は木造船で、エンジンは無くたぶん手漕ぎだと思う。
そしてその人影は「柄杓(ひしゃく)をくれー」と言ったそうだ。
んで爺さんは柄杓をそのままやった。
俺の爺さんは南極に鯨を捕りに行っていた。
しかし、太平洋戦争が始まって行けなくなったので、地元に帰って漁師を始めた。
ある日夜釣りをしていたら、船のオモテに人影の様なモノが立っていた。
当時の漁船は木造船で、エンジンは無くたぶん手漕ぎだと思う。
そしてその人影は「柄杓(ひしゃく)をくれー」と言ったそうだ。
んで爺さんは柄杓をそのままやった。
そしたらその人影は柄杓で海水をバシャバシャと船の中に汲み始めたそうだ。
しかしイケス(魚を入れる所)の底の栓を抜いていたので海水を入れても船は沈まない。
その人影はしばらくして諦めたらしく、柄杓を放り投げる音とともに海の中にスーと消えたそうだ。
この話を聞いたときには爺さんのホラ話かと思ったが、婆さんの話し方が現実味があると言うか、神妙な感じだった。
俺の地域では8年前に海難事故があって、最後の一人は遺体が見つからなかった。
海では事故で亡くなった人の無念の思いがあるのだと思う。
しかしイケス(魚を入れる所)の底の栓を抜いていたので海水を入れても船は沈まない。
その人影はしばらくして諦めたらしく、柄杓を放り投げる音とともに海の中にスーと消えたそうだ。
この話を聞いたときには爺さんのホラ話かと思ったが、婆さんの話し方が現実味があると言うか、神妙な感じだった。
俺の地域では8年前に海難事故があって、最後の一人は遺体が見つからなかった。
海では事故で亡くなった人の無念の思いがあるのだと思う。