今でも何だったのかよく分からない高校生の頃の実体験。

高校の頃、生徒会役員をしていた。
そのため合宿(という名の残業)のために、校内にある新セミナーハウスに三回泊まったことがあるんだけど、三回目での体験。(ちなみに一回目も二回目も何ともなかった。)

夜ごはんを食べ終わり、風呂のお湯が溜まるのを待っていた時のことだったと思う。

みんなで二階にある大部屋で、布団を敷きながら「明日は文化祭本番だ」と盛りあがっていたんだけど、ムードメーカーのAがいないことに気がついた。
でも、わりとみんな個人行動が好きなので誰気にしていなかった。

自分もキッチンで何か飲もうと一階に下りた。

あまり大きなセミナーハウスではないので、階段を下りるとすぐに玄関。

季節は十一月半ば。
山が近いために空気は寒いくらいで、玄関のあたりはしんと冷え込んでいた。

その玄関に、寒がりのAが裸足で立っていた。

俺:「A?窓にコウモリでもあつまってるの?」

夏に泊まった時、Aがコウモリにびびって固まっていたことを思い出して声をかけるが、Aさんは微動だにしない。
声が小さかったんだろうかとAさんに近づいて気付いた。

とんでもなく小さな声で、とんでもなく早口で、とんでもなく低い声で、なにか分からないことをぶつぶつと呟いていることに・・・。

俺:「A?A、大丈夫?」

声をかけるが、Aはまったく反応してくれない。

思わず心配になって、肩をゆすろうとした瞬間、逆に後ろから肩を掴まれた。
普段の自分なら「ぎゃー」とか叫んで気絶寸前になるんだろうけど、その時はなぜか大丈夫だった。

ゆっくりとふりかえると、同じく生徒会役員のBさんがいた。
基本的にボディタッチが嫌いで、握手すら嫌がるBさんなのに、なぜかその時は普通にふれてきた。

俺:「Bさん、どうしよう、Aが変なんだよ、どうしよう」

完全にパニくっている自分に、Bさんがめったに見せない笑顔でこう言った。

B:「なんともないよ、大丈夫やって」

大丈夫と言われても、Aの様子は明らかにただ事じゃない。
なんでBさん、こんなに冷静なんだ?と逆にいら立ったことを覚えている。

しかし、Bさんはまったく気にするそぶりもなく、「大丈夫やって」ともう一度言うと、階段を上がって消えてしまった。

釈然としないままAをみると、まだなにかぶつぶつ言っている。

自分もAも疲れているんだと結論付けて、いったんキッチンに行って、それから玄関に戻ると、もうAさんはいなかった。

思わず走って大部屋に飛び込むと、Aは普通にみんなと談笑していた。

俺:「A、さっきどうしたの?」

思わず問いただすと、Aさんはきょとんとした顔で首をかしげた。

俺:「さっき?のど渇いて、水取りに行ってただけやけど。そっちこそどこいってたん?みんな心配しとったよ」

Aのいたずらかともおもったけど、Aさんはこう言ったたちの悪いいたずらを嫌うタイプ。
それにみんなの性格を考えると、いたずらなら「いたずら成功!」とはやし立てるだろう。

なにが起こったのかさっぱり分からないまま自分の布団の上に戻るとBさんがやってきて呟いた。

B:「な、言ったやろ。大丈夫やって」

Aは一体どうなっていたのか、Bさんの「大丈夫」はどういう意味だったのか、今となっては分からない。

それよりも、家に帰ったら猫が死んでいたことの方がショックだった。
関連性はないが悲しいと同時にぞっとした。

社会の先生が、地元の歴史を調べている人だったので、ある日授業中に話していたんですが、私の通っていた高校は戦時中は陸軍病院、それ以前は寺の敷地だったそうです。

うちの高校の幽霊話は、大体、新セミナーハウス(体験当時建設二年も経っていない新築)と、先代のセミナーハウスでの出来事。

先代に至っては「必ずゴキブリと幽霊に遭遇する」と揶揄されるレベルのお化けハウス。

幽霊話はセミナーハウスのみで、校舎とかでの目撃談は一つもないのに、両セミナーハウスはそれぞれ距離が離れている。

因果関係は謎。
あれが心霊体験だったのかも謎。