先日、夜中の一時過ぎに友人が駆け込んで来た。

裸足で、ガタガタ震えて非常に怯えている。
変質者にでも襲われたのか?と問い質したが、外が気になる様でなかなか答えない。

再度、問い質したらしばらく黙り込み、涙目で「化け物をみた・・・」と言われた。
友人は自宅で風呂上がりに脱衣場で髪をドライヤーで乾かしていた。
乾かすのに邪魔なので眼鏡を外してぼんやりとした視界の中洗面台の鏡を見ていたら、何か違和感を感じたらしい。

その違和感を確かめるべく見えない中、鏡をぐっと覗き込んだ。
虚像の自分も近づく何も変わりがない様で何か違和感を感じる。
まるで虚像の自分が自分ではないようだとふと思ったらしい。

その時、虚像の自分がにゃっと笑った。
バレちゃったと言わんばかりに、ゾッとして眼鏡を手繰り寄せ鏡をみたら、いつもと変わりないただの鏡だった。

勘違いだったことにほっとしつつも拭いきれない不気味さで髪を乾かすのやめて脱衣場を出ようとしたら、後ろからパタッと足音がした。
狭い脱衣場の中、人はいない、後ろは鏡。

友人は気付かないふりをして静かに脱衣場を出た。
バタンと脱衣場のドアを閉めて後ろを見ずに前だけ見て進んだ。
後ろをからカチャッとドアの開く音がしてバタンと閉まった。

友人は耐えきれなくなってスリッパのまま玄関を飛び出し此所まで駆けてきたらしい。

道中、ずっと足音が追いかけて来た。
そして、確かに此所、私のアパートの部屋の前まで追いかけられと、思わず、玄関の方をみたが静かで足音一つしなかったが、朝まで友人と二人まんじりとせず過ごした。