大昔から白い蛇が住み着く実家の影響で、幼少期に蛇が憑いた。

ばぁちゃんの「20歳を迎えたら自然と離れる」と言う言葉を信じて、嫌な思いをしたり助けられたりしながら上手く付き合って来た。

が、23歳になっても離れる気配がなく、ばぁちゃんに祓って貰おうと思った矢先に、事故で左足首骨折。
忙しいばぁちゃんの都合と私の都合が合うのが、退院してから1ヶ月後先。
しかし、退院してから2週間でマンションの階段から落ちて肋骨にヒビが入った。
この時、誰かに後ろから押された感覚があった。

怖くなって、私は約束より早かったが実家へ行った。
母親が私を見た瞬間、真っ青な顔になってばぁちゃんを呼びに行って、わけが分からないまま飛んできたばぁちゃんに思いっ切りビンタされた。
ばぁちゃん曰く、私の顔に大蛇の顔が重なっていたらしい。

すぐに奥の部屋に連れて行かれて、お祓いをやっているばぁちゃんの兄弟やいとこを集めてくれた。

部屋に入った時から体の中がザワザワして、なぜかイライラしてた。
ばぁちゃんに「もってかれないように気を強く持ちなさい」って言われて、「私は私の物。私は私だ」ってずっと呟いてた。

40分位で全員集まって、お祓い開始。

目の前にいるばぁちゃん達が凄い憎く見えて、ふと血の臭いが鼻をかすめた。
喉が乾いて、出された水では潤せなくて、血が飲みたいって思ってしまった。
体の中がざわめいて、触った腕が蛇のような触り心地でハッとした時、ばぁちゃんにまたビンタされた。

「◯◯(私の名前)!」

「うあぁぁぁ!!」

半分意識がある中で、体が勝手にばぁちゃんの首を掴んで私の中の蛇が笑った(私の顔がニンマリした)所までは覚えてるが、その後すぐに気絶。

意識が戻った時にお母さんが私を座り直させてくれて、日本酒のような物を飲まされてお祓い終了。

本来なら蛇神になる筈だった蛇。
私に恩返しのつもりで憑いたが、居心地が良くてこのままで居たくて事故を起こさせたらしい。
長く憑きすぎて悪霊手前までいってたが、私が幼少期に蛇を助けたのが嬉しかった(?)から、その恩の気持ちのお陰で悪霊にならずにいたのかもしれないって、ばぁちゃんが言ってた。

お祓いが始まった時のあの体のざわめきとか血の臭いとか、本気でみんなを殺したいって思ったあの瞬間が、本当に怖かった。

でも、一番怖かったのは、玄関で私をビンタした時のばぁちゃんの顔・・・。
鬼の形相とはまさにあのことです。