死んだ婆ちゃんの話。

俺の婆ちゃんには、3人の息子と一人の娘がいる。
末っ子の三男だけ、親の反対する娘と無理矢理結婚した。
嫁姑間の仲は極めて悪くて、半ば絶縁状態だった。

ある日、三男の嫁が電話をかけてきた。
婆ちゃんは適当にあしらって電話を切ろうとした。

なかなか電話を切らない三男嫁を怒鳴りつけようとしたら、「大事なことなんです。今日は出かけないでください。お願いします」と言われた。
婆ちゃんは怒鳴りつけて電話を切ったんだそうだ。

夕方。
近くの商店街にあるスーパーから出火。
多数の死傷者が出た。
婆ちゃんが毎日買い物に行く場所だった。

その後、婆ちゃんと三男嫁は和解。
後年、三男嫁が婆ちゃんの最期を看取った。