小4の頃の話。

ある日、私の家で隣人Y(小5女子)と2人きりで遊んでいた。
まったり遊んでたらいきなり、勝手口を結構強めに「ダンダンダンダンダンッ!」ってノックされた。

Yと私は、ちょっとビビりつつドアを開けてみた。

そこには、小学4年生くらいの全く見知らぬ女の子が立っていた。

ん?誰?と思っていると、その女の子は開口一番「ここ、私の家なんだけど」と言った。

Yと私が「???」ってなって、固まって黙ってたら女の子は更に「ここ、私の家なんだけど」・・・解せぬ・・・。

その女の子の身なりは、綺麗でオシャレだった。
上品な小花柄のワンピースに、麦わら帽子を被り、赤い小さな水筒を持っていた。
ロングヘアを三つ編みにしていて、顔立ちも人形のように可憐だった。
だけど、本当に人形みたいに無表情で、口だけが動いてるって感じだった。

私は「ここにはずっと私達家族が住んでるよ?何かの間違いじゃない?」と言った。
Yも同じようなことを言って、誤解を解こうとフォローしてくれた。

だが女の子はまたしても「けど、ここは私の家なの」と。

・・・意味が分からん。

このままじゃ埒があかないと思い、たまたま仕事が休みだったYのお父さんを、Yが私の家まで連れて来てくれた。

YもY父も、この女の子には見覚えがないようだった。

Y父は「ここのお家はずっと◯◯ちゃん(私)のお家だよ」「他の人達が棲んでたことは無いよ」と、謎の女の子に説明した。

女の子は、極めて平静に沈着に「けど、ここは私の家よ」と繰り返した。
私達は、こんなやり取りを20分ほど続けた。

Y父はそれからも「お父さんかお母さんは?お家はどの辺?」とか色々質問するんだけど、女の子は「ここは、私の家なんだけど」としか答えない。

無感情に「ここは、私の家なんだけど」としか喋らないこの女の子に私とYとY父は、なんとなく不気味さと言うか奇妙さを感じていた。

女の子は、子供らしくないというか異常に落ち着いていて池沼とかじゃないっぽいし、何だか妙なオーラというか空気があった。

やがて、私達は問答も説得も諦め無口になった。

何だろう?この子。どうしよう・・・?警察行こうか?などと考えていると、唐突に女の子が「分かった」と言って、通学路の方向に歩き出して去って行った。

残された私達は、訳も分からぬまま、ただそれを見送った。

それから、その女の子が現れることは2度と無かった。