もう十年以上前なんだけど祖母が亡くなった。

両親共に仕事が忙しかったので祖母が面倒みてくれていた。
この祖母は着物が大好きで色とりどりの着物が沢山あったそれをしまう立派な桐ダンスも。
私はその中でも紫の着物が大好きだった。
それを身に着けた祖母のかっこよさ、りりしさ、美しさが大好きで、何かあるたびにその着物身につけてとせがんだりしていた。

生前祖母は「私が死んだらこの着物うけとってね」と言ってくれていたんだけど、小学生だった私はそれが悲しくて、「着物いらないから死んじゃいやー」と泣いたりしていた。

そんな祖母が十年ほど前に死去。
最後の一年はほぼ寝たきりだったが母親が仕事を退職し、つきっきりで看病していた。

亡くなった当日、父の妹であり祖母の娘でもあり私の叔母でもある人が祖母の着物を盗み出していった。
生前祖母に話してあったからとか言ってた。
祖母の貴金属類も何もかももっていってしまった。

両親はもう何も言いたくないと呟き、私も祖母が決めたことならと、納得した様なしない様な思いでそれを取り返す事もしなかった。

十年経って叔母はあの着物を着用して出かけるんだと両親に報告にきた。
何かの発表会?詳しくは分からないけどそんな感じ。
それも私の好きだった紫の着物・・・。
それを着るから私に見てもらいたいわーとか言ってたらしい。

しかし、前日交通事故。
それも自損。
そのまま二か月以上入院の重傷?重体?で発表会には欠席。
ただ叔母は今後いくらでも着る機会あるから楽しみだと言っていた。

が、叔母には障害が残りもう歩く事もままならない状態になってしまった。
杖があれば何とか歩けるらしいがそれも辛いらしい。
もう着物に用はないだろうから紫の着物だけでいい返してほしいと父が頼んだのだが、叔母はこれは自分のものだから渡せないと返却拒否。

その叔母が先日亡くなった。
死因は知らないが朝冷たくなってたらしい。
ちなみにこの叔母の夫も同じ様に亡くなった。
でも着物は戻ってこない。
叔母の息子達が母の形見だからといっているらしい。
なら着せてあげようと提案したが却下。
すごくいいものだから、息子嫁にプレゼントしたとの事。

その息子嫁さん、妊娠していたのに流れちゃって葬式にも出席できなかった。
着物が今どうなっているのかはわからない。
あの何十着もある着物はどこにあるのか・・・。

もしかしたらどこかに流れているかもしれない・・・。
一着七桁が当たり前だったらしいから。

ただもう関わりたくないのでこれ以上着物の話はしない様にしようと思う。
ここに書いてもう忘れようと思う。

と思ったら息子嫁が家を出ていってしまったというオチ。
嫁さんが私と連絡を取りたいと言ってきているらしい。
お断りしましたが・・・。

ただ叔母が亡くなったけど悲しいとか嬉しいとかとにかく感情が一切わかなくてふーん、だったのが自分でも驚いた。
そしてどの着物にも一度も袖をとおせなかったらしい。

着物ってちょっと怖いかもしれないですねって話です。