少し奇妙な記憶がある。

小さい頃から、自分以外の子供の記憶があるような気がしていた。
例えば、ウチは、貧乏で県営住宅住まいだった、長屋形式のね。
でも、それとは別にかなり裕福な暮らしを味わってたという記憶が微かにあったりして不思議だった。

親が「初めて買ってきたよ」という高価な果物も、あれ食べたことなかったっけ?とかね。
まあそれだけならTVの影響でも受けてた、とすれば説明がつく。

やがて免許をとって車に乗れるようになって、とにかく運転が面白くて近所中のあらゆる道を走りまくった。
で、家から30kmほど離れた海のそばの道を走ってた時、小さな脇道を発見した『知らない道はどんどん進め』、っていう気分だったんで当然曲がって入ってみた。

その脇道はすぐ急勾配の登り坂になっていて、その先がどうなっているのかは通りのほうからは見えなかった。
登りきってみると、そこは太平洋に突き出る岬の先端部へとつづく道だった。

あれ?っと思った。
なんか知ってる土地って気がするんだ。
まったくはじめての場所なのに・・・。

手前は畑と林、そのまま直進すれば岬の先端で行き止りになるはず・・・。
でその突き当りには豪華なお邸がでてくるはずだ。
そして、実際にそうだった!

車を止めてそのあたりを歩いてみた。
この塀のかげには建物があって、それは小さな気象観測所じゃなかったっけ?
見ると確かに○○測候所とかなんとか書かれた看板が掲げられてた。

そのお邸を見ると強烈にいろいろ脳裏に浮かび上がってきた。
・庭には芝生があって岬の崖まで連続している。
・その崖のふちには木々が密に植えられててそれが垣根がわりになっている。
・その木々の周りを歩くとイガが落ちてる・・・てことはそれらは栗の木。
・庭からみて左手に父親の書斎がある。

え・・・父親??

混乱したままそのお邸の庭のほうを伺うと、さっき頭に思い浮かんだ通りの景色となっていた。
わけがわからなくなって、あわてて車に乗って家に帰った。
ちなみにその時そのお邸に人の気配はなかった。

家に帰っても、奇妙な記憶はどんどん沸きあがってきた。
・書斎につながる廊下はけっこう長くツヤツヤの板敷き。
・父親?は高級なウイスキーが好きで飾り棚にたくさん並べてた。
・岬の高さは海面まで50mはゆうにある、見晴らしのいいところ。

なんかいろいろ浮かんでくる。
そして、、
・嵐の時は、崖に当たった大波のしぶきが庭まで届くこと。
・崖のふちの木々は密に植えられているけど、小さい子供にとってはスカスカでけっこう簡単に通り抜けられること。
・その木々が植えられている場所が実は崖に向かって傾斜がついていること、そして滑りやすいこと。
・そこから振り返ったときの枝越しのお邸の大きな窓。
・父親が崖のほうには近づいちゃいけないよ、といつも言っていたこと、と同時に約束を破ってごめんなさい、という気持ち!

今、これを書いていて少し鳥肌が立っている。
これを思い出していたあの日も同じだったと思うわ。

親にそれとなく聞いてみたことがあるが、そのあたりの土地と関連があるような話はいっさい聞けずじまいだった。

で、ちょっと推理してみる。
1.実はウチの親が元は金持ちでそこに住んでいたが没落し、貧乏長屋住まい→なのでその時の記憶が残っていた。
2.考えたくはないが母親が小さいオレを連れて、その男のもとへ出入りし・・・いわゆるゴニョゴニョな関係。
3.生まれた時、産院で取り違え事故が発生して入れ替わったが、数年後に気づいて元の親の所へ戻った→なので記憶が残っていた&親はそれを隠した。
4.まったくの空想の産物記憶とやらはまったくの捏造・思い込み。
5.その家の子がなんらかの形で命を失い、オレとして生まれ変わった→前世の記憶が残っていた。

このスレ的には、4か5だろうか?
オレとしては断然5を支持したいんだが、そんなわけあるかよ、ってのもあるし、うーむ・・・。

一つの可能性として・・・
その屋敷はかつてお父さんが勤めていた会社の社長の自宅だった。
まだ記憶もしっかりしていない幼い頃に、会社の創立記念や社員の慰労などで家族ぐるみで社長の屋敷に招待された。
そこで屋敷内を案内されたり、日頃食べられないような高級フルーツなどをご馳走になった。

時間の経過とともに忘れてしまったが、その時の記憶がかすかに残っていて、たまたま近くを通りかかった時にフラッシュバックした。