猫SPに護衛されながら散歩する婆さんの話。

30年前、田園都市線江田駅近く。
俺は当時よくその辺の宅造途中の空地とかでオフロードバイク走らせて遊んでたんだが、その時2回見た。

1回目は黒づくめで白髪の魔女みたいな婆さんが、たくさんの黒猫と歩いてるので、何かスゲエなと思っただけだった。

2回目はちょっと離れた高い所からだったんで、全体がよく見えた。
あの辺は坂ばっかりだから婆さんはゆっくりゆっくり歩く。
黒猫達も婆さんに合わせてゆっくり移動するんだが、その行動がひどく組織的だったんだ。

まず、婆さんの足下でじゃれ合ったりうろうろしたりしながらペースを合わせてる数匹の本隊。
本隊から1ブロック先行して次の角辺りで寝っ転がったりぐるぐる歩いたりしてる2~3匹。

こいつらは本隊が追い付くとそのまま本隊に吸収されるんだが、ある程度近づくと本隊から次の2~3匹が飛び出して、まるで跳躍前進みたいにその次の角辺りに張り付く。
本隊が通過した後も、しばらく要所に1~2匹が残って後で本隊に合流する。
これを繰返しながら婆さん達は進んで行くんだ。

俺はなんか感心しながらそれを見てたんだが、そのうち俺が見られてる事に気付いた。
手前の家の塀の上から、黒猫がこっちを見てたんだ。

俺はなぜか右手を挙げてそいつに挨拶した。
そしたらそいつは、急に興味を無くしたみたいに婆さんの方に歩いて行った。

それだけっちゃそれだけの話。