小学生の時に体験した話を書いてく。

当時、俺の実家は結構でかくて掃除とか整理とか面倒だったんだけど、その年の年末は気合を入れて家の隅々まで掃除することになった。

で、俺の部屋の隣に大きめの物置部屋があってそこも掃除することになった。
その物置部屋はもう何年間も開けられていないらしくて中を見たのは俺もその時が初めてだったんだけど、中は当然真っ暗で臭くて不気味だった。

隣の部屋がこんな薄気味わるい部屋だなんて思ってなかったから当時の俺はこの時点で結構びびってた。

物置部屋を掃除すると年代物の家具とかホコリ被った服とかが大量にあった。
錆びた管楽器やら外国の貴族が座ってそうな椅子やら「こんなのどこで手に入れたんだ?」って言いたくなるようなものがたくさん出てきた。

曾祖父が戦争で使ってたらしい銃の先っぽに付ける剣も見つけたりした。

一通り掃除が終わって、物置部屋から出土した使えそうな家具はそこから一番近い俺の部屋に一旦移すことになった。
なんとなく不気味だったから嫌だったんだけど、親が「一晩だけだから」と言うから渋々了解した。

その夜だった。

俺は自室のベッドに寝転がりながらポケモンをしていた。
電気は既に消していて11時くらいだった覚えがある。

そろそろー寝ようかなーと思いつつ時計を確認しようとしたら、電気を消してあるはずなのに部屋の隅が薄暗いことに気づいた。

なんだ?と思いつつ視点をそこに移動すると、女の人がいた。
その女の人はヨーロッパ風のドレスを着ていて、屋内なのになぜか傘をさしていた。

傘も日本で売っているような傘じゃなくて貴族の日よけ傘みたいなやつだった。
そしてそいつは、物置部屋にあった洋風の椅子に腰掛けていた。
この時点で異常な存在だと分かると思う。

しかしその女の人が異常だと言うことを一番俺に伝えたのは、そいつの顔だった。
そいつの顔は黒いモヤがかかっていて輪郭もうっすらとしか見えず、顔だけ見ると性別が判断できなかった
だけど目の部分にはしっかり光があった。
どこをみているか分からなかったけど。

あまりの恐怖に動けなくなった俺は目を瞑り、少しずつ毛布の中に顔を隠していった。
その動作が気づかれないように、ゆっくりと顔を毛布に隠しきった頃、毛布を挟んで数センチの所から声が聞こえた。

「死んだら・・・」

本気でヤバイと思ったけどなにもできなかった。

気づいたら朝、と言うか翌日の昼だった。
寝たのか、怖くて気を失ったのかは分からなかった。

ぼやけた頭で昨晩のことを思い出し、恐る恐る椅子のあった場所を見てみると、そこにはもうなにも無かった。
親がどこかへ移動させたらしい。
他の家具も全て無くなっていた。

結局あいつの座っていた椅子も含め、物置にあった家具は全部捨てられた。

体験談はこれで終わりです。

今になって思い出すと「死んだら・・・」が「死んだら?・・・」に聞こえたような気がする。
あの椅子にあの霊が憑いていたなら隣の部屋同士でで何年間も過ごしてきたことになる・・・。