彼女はあるマンションの最上階の11階に住んでいました。
ある日ぜんぜん眠れない夜がありました。

真夜中を過ぎても眠れない彼女は、寝ることをあきらめ、以前からやりそびれてたミシンがけをすることにしました。

家族の寝ていない部屋にこっそり移動した彼女。

気がつくと窓の外はうっすら明るくなっていました。

すると、そこに足音が近づいてきました。
エレベータ側から近づいて来たため、誰かが帰ってきたんだとわかりました。

「こんな時間に何やってるんだろ?」と思いましたが、すぐに、「私も人のことは言えないか」と思ったそうです。

そしてついに足音を彼女の部屋の前を横切ります。
スリガラス窓のすぐ外はマンションの通路で中年の女性と思われるシルエットが横切ります。

彼女が見ていると、そのシルエットは立ち止まりこちらを見ました。
一瞬ドキリとしましたが、その人はすぐまた歩き出しました。

彼女は相手もミシンの音を聞き「こんな時間になんで?」と思ったんだろうと思いました。

そして少しして、テンッ!というゴムマリが跳ねるような音を聞いたそうです。

先ほどの女性を思い出しましたが、何か子供のボールのようなものが1階の駐車場に落ちたのだろうと思ったそうです。

やがて一仕事を終えた彼女はようやく眠くなり、床に就きました。
しばらくして彼女は電話の音に起こされます。

同じマンションの友人からで、駐車場に人が飛び降りてるから見てみろと・・・。

びっくりした彼女は部屋を出ようと玄関を開けると、扉の前の通路の柵の前に外に向かってサンダルが揃えてありました。

飛び降りたのは中年の女性だったようで、即死でした。
マンションの住人ではない近所の女性。

遺書は無かったようですが、その夜家族に「眠れない、眠れない」といっていたそうです。