田舎に住んでいる大叔母さんが、ある日突然、我が家に訪問した。

子供の頃、田舎に帰ると遊んでもらったりしたので大好きだったし、予定もなかったので上がってもらってお茶してた。
イヤイヤ期で悪魔のような息子wも珍しく上機嫌で大叔母さんに懐くし、大叔母さんも「ほんまにええ子やねえ」なんてニコニコしてたら、再び来客。
おすそ分けを持ってきてくれた様子の、同じマンションのママ友Aさんだった。

「一緒にお茶でも」

そう言って柿を渡されかけたんだけど、「今親戚が来てて・・・」と話すと、「じゃあこれはその方とどうぞ」と渡してくれた。

「すみません、ありがとう」などぺこぺこしていたら、後ろから大叔母さんが「アンタ!ひっどい臭うなぁ!」と大声を出した。

Aさんは当然硬直。
私も振り向いたまま硬直しかけたけど、大叔母さんが「鼻が曲がる、臭う臭う」と、しかめっ面で言うのを見て、慌てて「なんてこと言うの!」と奥に押し込んだ。

私だけ家の外に出て必死に謝りまくり、申し訳なくて頂けないって柿もお返しした。
Aさん泣きそうになってるのが伝わりながらも、「気にしないからどうぞ」って言ってくれたんだけど、「後で謝罪の時に受け取らせて」って言って頭下げて見送った。

そして速攻で家に入って大叔母さんにどういうつもりだったのか問いただすと、大叔母さんは「柿は返したね」と一言だけ言って息子との手遊びに戻ってしまった。
息子の手前、私も口論は出来ず、怒りを抑えて再度問いただすも、大叔母さんは「付き合うんはやめとき。物も貰ったらあかん、家に上げてもあかん」としか言わない。

大人たちの空気を感じ取った息子がぐずり始めたのを理由に追い出すようにして帰ってもらったけど、帰り際に「絶対に付き合うたらあかん。息子くんの為にもや」と言い残して帰っていった。

その後は息子の機嫌をどうにか急いで直し、即Aさんの部屋に伺って再び平謝りしまくった。

Aさんは明るく笑ってて、「もしかしたら私、犬のうんこでも踏んでたのかもー」とか言ってくれた。
柿も渡されそうになったけど、大叔母さんの言葉が妙に引っ掛かってしまって、「今回は・・・」と遠慮させてもらった。

Aさんは「気にしないで」と言ってくれても私が気にしてしまい、それから少しずつ疎遠になった。

入れ替わりに他のママ友が出来て、大叔母さんの事件も忘れかけていた頃、Aさんが窃盗で逮捕されたと話題になった。
本当にびっくりしたんだけど事実らしく、被害者は最近引っ越してきた同じマンションの別の人Bさん。
Bさんもママで、私と同じようにAさんに引っ越してきた直後に話しかけられたらしかった。

盗まれたのが現金と価値のある貴金属類を選り分けていて、常習犯を疑われて調べられて一発逮捕だった、とBさん本人が話していた。

信じられなくて他のママさん達に話してみたら、「言い出しにくくて黙ってたけど、実は・・・」と、Aさんが泥疑惑満載の人だったと教えられた。

他ママさんと仲良くなった頃には挨拶程度の仲になってたので、「わざわざ告げ口みたいな真似もねぇ」なんて話してたらしい。
Bさんは怒りでAさんを徹底的に追及し、示談は絶対に認めないと啖呵を切っていた。

でも性格が悪いわけではなくて、曲がったことが嫌いな人らしく、Bさんともママ友になった。

そして大叔母さんのことをふと思い出して、電話して話を聞いてみた。

大叔母さん曰く、「あの女には背負い切れないほどの水子と、盗人の臭いがぷんぷんしてた。あの柿も盗んだもんだ。子どもも虐待しとるよ、毎日殴っとる」と・・・。

私が大叔母さんに懐いてた理由は、怪談話がすごく面白かったから。
そういえば私、大叔母さんに引っ越し先の住所教えてないな・・・と考えてたら、「兄ちゃん(祖父)に聞いたら教えてくれたんよ」と、カッカッカッて亡き祖父そっくりの大笑い。

電話を切った後の妙な興奮が抑えられないので、厄落としがてらカキコでした。