これは飯能(埼玉県)の、山と言うより丘の上にあるアパート(木造モルタル2階建て)で、十数年前に起った実話です。

酒を飲んでいて帰りそびれ、仕方なく友人の家に泊めてもらうことにした日のことです。
友人のアパートはとても古いが庭があり、そちらの面に縁側がある造りでした。
冷蔵庫にあったジンを飲みながら、ふと庭に目をやると、薮に埋もれた社にロウソクの炎のような物が見えたのです。
それとなく友人に「なんだよあれ?」と問いかけると、「チッまたかよ!」との答です。

詳しく訊こうとしたのですが、はぐらかされてしまい、そうこうしているうちに私は寝入ってしまったようです。

その後、ウヮーと言う悲鳴で起こされた私は、恐ろしい光景を目のあたりにすることになりました。

友人が床から15センチほど浮き上がって、足の方向(滑り台を想像して下さい)へ引きずられる格好で狭い部屋の中をグルグル回っているのです。

友人は5分ほど引きずられた後、敷いてあった布団にフワリと着地して、動かなくなりました。

私はあまりの恐ろしさに、友人に声をかけることができず、布団を被り一睡もできず朝を迎えました。

起き出した友人に質問出来ずにいた私に、「あの社に火が見えた日は、必ず悪夢にうなされる」と言いました。

友人に訊いた訳ではありませんが、どうやら浮き上がって引きずり回されたことは覚えていないらしいのです。

その後三ヶ月ほどで友人も引っ越しをしてしまい、そのアパートがどうなったのかは分かりません。