ちょうど今頃の時期に、実際にあった出来事。

中部地方の山あいにある自動車免許の合宿に行ったんだよね。
合宿生活が始まって、一週間くらい経ったある日、変なことがあった。

アパートみたいな一人部屋の寮に泊まってたんだが、夏の蒸し暑い夜で、クーラー嫌いだから窓開けてたんだがなかなか寝付けないでいた。
そしたら真夜中なのに誰かが喋ってる声が聞こえた。

「わかんない、うん、わかんない」って、独り言ってより、誰かと電話で話してる感じ。

声は池沼のおっさん風で、声質の割に喋り方が幼い。
頭の弱い人が、夜中に出歩いて電話で話でもしてんのかなと思ったんだが、会話がむちゃくちゃで、同じことしか言わないから、だんだん気味が悪くなってきたんだよね。
ヘタレだから窓の外見れなかったけど、明らかに誰かと電話で話してる感じ。

ずっと、「わかんない、ぼくわかんない」みたいな甘えた感じで喋ってるわけ。
おっさんの声で。

めちゃくちゃハッキリ声が聴こえるし、幽霊の類だとは思わなかったけど、怖くて外が見れなかった。

そしたら急に俺が布団のわきに置いてた携帯電話が鳴った。
『番号を表示できません』みたいな感じで着信がきた。
切っても切ってもかかってくるから、最終的に20件くらいの着信履歴が残った。

話はこれで終わりでいつの間にか声もしなくなって、寝て起きたら朝になってた。
不思議なのは隣の部屋に泊まってた人はまったく声を聞いてなかったこと。
他の合宿生にも確認したけど俺しか聞こえなかったみたい。

今だから思うんだが、あの時、俺の携帯に電話かけまくってきた奴は外から聴こえる声の主なんじゃないかって。

あとから調べたら『番号を表示できません』っていうのは海外から発信するとそういう風になるらしい。