俺がまだ幼稚園児の頃の話。
いわゆる超能力があった。

超能力って言っても遠くにある物を掴むくらい。
できることはウルトラマンの人形や怪獣の人形を遠くから戦わせて遊ぶくらいだった。
掴む力も幼稚園児並の力だったし、親も最初は気持ち悪がってたけど(当たり前だよなw)。

俺も言葉がわかってくる年頃だったし、親が「それ(超能力)はダメ」って言ったから素直に言うこと聞いてた。
親が出かけてる時、隠れて家の中で人形で遊んだりするくらいだったし、その力は人形で遊ぶためのものだと思ってた。
小学生くらいになると友達と外で遊んだりゲームが楽しくて、超能力で遊ぶことなんてなくなってた。

ある日の休み時間、4人乗りブランコ(向かいあって座るやつね)に乗ろうとしたら、いじめっ子(以下A)に突き飛ばされて乗せてもらえなかった。

楽しそうに4人でブランコ乗ってるのを見た当時の俺は、猛烈に腹が立ったらしくて、動いてるブランコの軸に力を使った。
知ってる人はわかると思うけど、結構な重さがある上に、子供4人が全力で漕いでる状態のブランコをピタッと止めるのは大人でも難しいと思う。

力を使ったらブランコは今までの勢いが嘘みたいにピタっ止まって、中の子達は前へつんのめってた。

年を重ねることで知らない間に力が強くなってたようで、理科室で実験の授業中、Aの班のフラスコを遠くから割ったり、書道の時間に筆をめちゃくちゃに走らせたり、テスト中に鉛筆の芯を折ったり、牛乳飲んでる時ビンを持ち上げてこぼさせたり等のイタズラに効果を発揮してた。

だんだんと力の強さも使い勝手もわかってきて、小学生になったことでずる賢さも持ち合わせた俺はプールの時間にAを溺れさせることにした。

泳いでる最中に押さえつけた。
Aはよくふざけたことをしてたから先生も最初は、「またAの冗談か」って思ったんだろうな。
しばらく放置されてたんだけど、そのうちヤバイと思ったらしくて、男の先生二人がAを助けにプールに入ってきた。

だけどその当時の俺の力は相当なものだったらしくて、『大人二人がかりの力<俺の超能力』だった。

その時は本気で殺すつもりだったんだと思う。
そいつはいじめっ子だったし、死んでもいいと思ってた。

だけど回りがざわめいて、混乱してるのを見ると自分がとても悪いことをしてるのに気づいて押さえつけるのをやめた。
助け出されたAはプールサイドから見てもわかるくらい、青ざめてぐったりしてた。
すぐに病院へ運ばれて死にはしなかったけど、俺はその時から力を使うのをやめた。

ある日の仕事の帰り道、DQNの歩きタバコで手を火傷した。
逃げたDQNに腹が立って、逃げるDQNの背中をキッと睨んでたと思う。

突然バタッと倒れたDQNに恐くなって俺は逃げた。

長い間力を使ってなかったから、力の使い方がわからないんだろうか。
それとも漫画のAKIRAみたいに力が強くなりすぎて加減が効かないんだろうか。
DQNが倒れたのは偶然だと思いたい。

こんな漫画みたいな、わけのわからん力は俺の妄想だと思いたい。