俺が小さい頃(幼稚園くらい)に一度だけ家の中で幽霊を見たことがある。
家は昔ながらの長屋の私営住宅。
和服の女がただ通り過ぎるだけで目線があったりはしなかったし、こちらも怖くて布団の中からちら見していただけだった。
親に言っても信じてもらえずずっと夢だと思うことにしていた。

その話を聞いた自称霊感のある親族が来たときに、「この家に霊道が出来ている」とか言いだした。

うちの家族は苦笑しつつ「そうなんだー」って生暖かい流れ、ていうか俺の見た幽霊の移動経路とは全く違っていた。

やばいこの人だめだ・・・と思いつつ黙って聞いていた。
それでもなんだかんだでお札やら盛り塩やらやっていった。

さらに時が経ち住宅改修するというので引っ越すとき大掃除のような解体をした。
家の床下からは猫の死骸が大量に出てきた。
親は見なかったことにした。

近所に野良が多かったので別に不思議ではないと思うが、俺の見た幽霊の移動経路にそうように死んでいたのがぞくっとした。

昨晩、改修後もそこに居残ってる幼馴染からメールがきた。
俺が住んでいた家の位置に新しく来た人が自殺したらしいと・・・。

もともとこの手の住宅にはお金に余裕がない人が多いし、昔に隣に住んでた人は夜逃げしたし、いろいろあるんだろうけど、このごろ精神的におかしくなってきた感じとは聞いていた。