中学生だった頃。
家で英語の勉強をしていた。

当時の高校入試には、英語のヒアリングテストがあって、そのためにヘッドフォンをつけて、テキストのカセットテープwを聞いていた。

結構集中して3時間ほど、勉強していたんだけど、目の端に赤い光が入ってきて、窓の外を見るとパトカーが沢山と救急車が3台来ていた。

よくわからないが、自殺したいけど、自分では死ねないので人を殺して死刑になりたかった男が、夜の住宅街の路上で「誰か助けてくださーい!!」と叫び、助けようと出てきた人を刺したらしかった。

理由は「誰かを助けようとする優しい人たちなら、自分の気持ちを分かってくれるはず」とか斜め上だった。

実際、世話好きで親切なお向かいの奥さんが背中を刺され、奥さんの悲鳴を聞いて飛び出した家族も軽傷を負った。
死人は出なかったが、結構な怪我人が出た。

ヘッドフォンをして、ヒアリングに集中していたため、男の狂言悲鳴も、騒ぎもパトカーのサイレンすら聞こえなかった。

当時両親は留守で、近所の住人から職場に電話を貰い騒ぎを知り、自宅に電話するも、俺はその電話にも気がつかず、当然出ない。
涙でぐしょぐしょになって帰ってきた両親の心中が修羅場。
もし、悲鳴が聞こえていたら、俺も外に出ていたろうと思うと俺も修羅場。

特に小さい頃から「困っている人がいたら助けなさい」「見て見ぬふりはするな」と教えた父の心中は大修羅場だったらしい。

もう25年前の修羅場。
あれ以上の修羅場はまだないな。