どこにでもある、「この話し聞くと、本当に出るよ」と言う話。
それが、「赤いバレリーナ」・・・。

関東地方で本当にあった話です。

クラッシックバレーに青春を注ぐ一人の少女がいました。
名前は、A美。

彼女は次の発表会で、いわゆる「主役」メインで踊ることが、決まっていました。

辛く厳しい練習に耐えやっとつかんだメインの座でした。
当然、そんな彼女を妬み快く思わない輩もいました。

ライバルのB子です。

A美とB子は、最後までメインの座を争そいましたが、僅かな差でA美がメインに選ばれました。

そんなA美が亡くなったのは、バレーの発表会の直前でした。
その日も激しい練習を終え、自宅に帰る途中、トラックにはねられ即死でした。

トラックの後輪に体を巻き込まれたらしく、体の右側半分が、ぐちゃぐちゃに引き裂かれなんとも痛ましい姿でした。

そんな彼女の死体の傍らには、その日練習で着ていた白いレオタードが、彼女の流した血に染まり真っ赤になって落ちていたそうです。

何とも痛ましく悲惨な事故でしたが、結局、発表会は、ライバルのB子がメインとして踊ることになりました。

B子にとっては、このA美の死は棚ボタの願ってもない幸運だったのです。

もともと、嫌っていたA美が死に、しかも狙っていたメインの座も手に入れB子は、内心笑いが止まりませんでした。

A美の死を悲しむ事などまったく無かったのです。

そして、発表会も無事に終わったある日、B子が、いつものように布団に入り眠っていると、突然、何処からともなく、妙に聞き慣れた音楽が聞こえてきました。
そう、あの発表会で踊ったあの曲でした。

どこから聞こえるのだろう・・・と想い、起きあがろうとしましたが、体が動きません。

金縛りです。
B子が、恐怖に怯え苦しんでいると、今度は薄暗い自分の部屋の枕元で、誰かが忙しなく動いているような気配に気付きました。

何だろうと暗闇に目をこらしよく見てみると、更なる恐怖がこみ上げました。
なんと、あの死んだはずのA美が真っ赤なレオタードを身にまとい、発表会の踊りを踊っていたのです。

B子が、声にならない悲鳴をあげ恐怖に、竦みあがると、聞こえていた音楽がピタリと止み、それに合わせA美も踊りを止めました。

するとなぜか横向きのまま、音も無くスーッと彼女が近づいて来ました。

B子は、金縛りが解けず、どうする事も出来ないでいると「ねぇ・・」A美が話し掛けてきました。

すると、今まで不自然に横向きだった彼女がクルッとこちらを向きました。
B子は、息を飲みました。

なんとA美の体は、左半分しか無く、右半分はぐちゃぐちゃで、肉や骨が飛び出して血がしたたり落ちていました。

そして、「ねぇ、あなたの右目、右手、右足、ちょうだい」と、言ってくるのです。

B子は恐ろしさのあまり、声も出ず、返事が出来ません。

すると何度も何度も繰り返したずねてくるのです。
いい加減恐怖に耐えられなくなったB子は、遂に心の中で「もう、解ったから、あげるから、消えてちょうだい」と念じました。

すると、「ありがとう・・・」と声が聞こえた瞬間、体の右半分に激痛が走り、そのまま悲鳴をあげ、気絶してしまいました。

隣りの部屋に寝ていた両親が、B子の悲鳴に気付き駆けつけると、右半身血だらけのB子を発見し、すぐ病院に運びました。

幸い発見が早かったため、B子は、一命をとりとめました。

しかし、右眼球破裂による失明、右上腕部、及び右大腿部轢断の重体でした。
しかも、全ての外傷、損傷が原因不明で本人の意識が回復しだい事情を聞く事になりました。

・・・数ヶ月後、やっとなんとか喋れるくらいにまで、回復したB子でしたが、両親や友人、周りの人が何を聞いても心を開かず、あの夜の事は、聞けませんでした。

そんなある日、母親が付き添う病室に、同じバレー教室に通う友人のC奈が、お見舞いに来ました。
C奈は、あのA美とも、仲がよく犬猿のB子とA美の関係を取り持つ位置にいました。

そんなC奈がなんとなく、A美との思い出話をはじめた時、突然B子が泣き出しポツリ、ポツリとあの夜の出来事を話し出しました。

B子は、信じてもらえないと思っていた事や、あまりの恐ろしさに言葉にできなかったと、涙ながらに、全てあの夜の出来事を、母とC奈に聞かせました。
全て話し終えると、疲れたのかB子は安心した様に、眠りにつきました。

母親もC奈も、とても信じられない内容に愕きましたが、事実、屋内でしかも、自分の部屋の布団の中で手足を引き千切られた本人を前に、異様なものを感じずには、いられませんでした。

母親は、C奈を帰り際に廊下で呼び止め、この話は誰にも話さない様にと固く口止めをしました。
C奈も頭の良い子なのでその意味をすぐ理解しました。

それからしばらくたった夜の事、C奈も、B子の話は、気になっていましたが、深くは考えない様にしてました。

そしてベッドに入り眠りにつくか、つかないかの意識の中で、突然、金縛りに襲われたのです。
そしてB子の話に出てたあの音楽が聞こえてきました。

するとやはりB子の話どうり、血染めの真っ赤なチュチュ(レオタード改め)を着たA美が踊りながら現れました。

そしてC奈がA美の存在に気付くとやはり音も止まりA美が、左半分の悲しげな表情で近づいてきた。
C奈は、その時あまり恐怖は、感じずA美の痛々しい姿と、「ねぇ・・あなたの右目、右手、右足ちょうだい」と言う恨めしそうな声に深い悲しみに似た感情が湧いてきた。
事前にB子から、聞いてたせいかもしれないがそう感じた。

しかし、A美からの要求は、止まず、耳元で「ちょうだい」を繰り返す。
なにか答えなきゃと考え、ついつい「あげるから」と言ってしまいそうになるが、B子の姿が頭に浮かぶ。心の中で「私は、あげられない」と何度も叫んでみるが、A美は、一向に帰ってくれない。

もうどれくらい経つだろうか。

なんとなくC奈は、生前のA美との事を思い出していた。
あの頃は、二人でよく冗談なんか言い合ってたなと思った時、ふと頭をよぎった言葉を念じてみた。

それは、かなり危険な賭けでもあった。
しかし脳裏に浮かんだ時には心では、念じていた。

「じゃぁ、左目、左手、左足ならあげられる」

そう念じた瞬間、A美の表情がさらに悲しく歪み、「そっちは、あるから、いらない・・・」と声が聞こえ金縛りが、解けた。

どうやらそのまま寝てしまったらしく、目を覚ますと、外は明るく小鳥の囀りが
聞こえていた。

C奈は、昨夜の出来事をB子の母に相談してみようと思い、B子の病院へ向かった。
すると、病室にはB子の母の姿は無く代わりにB子の父親が付き添っていた。
どうやら昨日から看病を交代して、母親は、家に戻っているようだ。

B子に確認したところ、父には、あの話は、してないらしい。
なにやら嫌な予感がしたC奈は、何度か遊びに行ったことのある、B子の家を訪れた。

しかし、呼び鈴を押しても返事が無く、留守かと思い玄関前から見える庭の奥の部屋の窓がみえた。

何か気になったC奈は、その窓越しにカーテンの隙間から見えた光景に驚愕した。
鮮血で血の海の様に染まった布団の上で右目、右手、右足から血を流し倒れているB子の母を発見してしまった。

直ぐに救急車を呼んだが発見が遅かった為、出血多量による失血死で死亡いていた。・・・

この話がC奈から漏れたかは定かではありません。
しかしこの話を聞いた人の処へ赤いバレリーナが、訪れることがあるようです。・・・。