ヘビの進化に関わる、とある驚くべき研究成果が学術誌「Cell」に発表されて話題を呼んでいる。

なんと、ヘビが手足を失った原因は遺伝子のほんのわずかな欠失にあり、それをマウスに導入すると、マウスの四肢も欠損してしまったのだという。

論文によると、ヘビの手足の消失には「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」という遺伝子が関わっている。

ソニック・ザ・ヘッジホッグは生物を形づくる重要な遺伝子の一つで、ショウジョウバエからヒトまで幅広い生物に保存されている。

受精卵が分裂し、胚が発達して形を作る過程で大きな役割を担う遺伝子として古くから知られており、今なお世界中で研究の対象となっている遺伝子だ。

ちなみに、その名前はお察しの通りゲームの有名キャラクターに由来する。

このソニックヘッジホッグ遺伝子には「エンハンサー」と呼ばれる遺伝子の発現を調節する領域があるのだが、ヘビのものには他の動物には見られない塩基対の欠失がある。
そこで、コブラの遺伝子から問題の領域だけを切り取って、マウスに導入した。
すると、驚くべきことにコブラのエンハンサーを持つマウスは、ヘビのように四肢を欠損して生まれてきたというのだ。

この論文について、生物学に詳しい理学博士X氏に詳しく見解をうかがった。

理学博士X氏「この研究を応用すれば、手足のない犬や猫とか、逆に手足の生えたヘビなどを生み出せる可能性は高い。そんな犬猫やヘビに需要があるかは分かりませんが。ただ、この技術を応用すれば、家畜や愛玩動物の体の形を人為的にデザインできる可能性は高い。そしてもちろん、この技術はヒトへの応用も可能です」