数年前、テレビの夕方ニュースのドキュメント企画のようなものだったと思う。

養護施設から出所して自活する少年の生活を追うものだった。
確か18~19歳くらいで肉体労働系の仕事をして1人安アパートで質素な暮らしをしていた。

彼の願いは「こんな自分でも産んでくれた母親に感謝している。もし生きているなら
一度でいいからあって御礼を言いたい」という健気なものだった。

で、お約束だけどテレビ取材班が少年の身辺調査をして母親の居場所をつきとめた。

「お母さんが生きてましたよ」という事で少年は母親と対面をする。

その母親というのが見た目60代と思しき老婆。
え?この人何歳で少年を産んだの40代後半?
いや実は若いけど見た目が年寄りなだけ?と観てるこっちも困惑するぐらいのよぼよぼ。

腰も曲がっていて白髪よれよれで生活保障も何もないその日暮らしで、知人男性宅のボロアパートに転がり込んで養ってもらっているという窮状。
もう一目みて、やむに止まれぬ事情があったとか、自分の夢があって子供を切り捨てたとかではなくて、単純に生活能力がないから文字通り『犬猫みたいに産み捨てた』って表現がぴったり。
少年も予想外だったようで呆然としている感じだった。

ボロアパートの底辺住人達は「息子さんが来てくれてよかったね」「おめでとう」と
祝福の言葉をかけるけど、当の少年も母親も互いに微妙な顔をしてた。

そして少年と母親と2人で暮らし始めるんだけど、当然ながら共通の会話もなし。
仏頂面でいらついてる少年とびくついてる老婆の対比が痛々しかった。

母親が(おそらくはテレビ取材班の口添え)カレーライスを作るんだけど、老人で歯が弱ってるらしくてご飯を水っぽくおかゆのように炊いてしまう。
カレーもびしゃびしゃのようで少年は「まじい」「こんなの食えねえ」と毒づく。

母親はいたたまれないのか何も言わず無言。
1人でもカツカツなところを何も出来ない母親がぶら下がってるような状態に我慢出来ず少年は同居生活を始めて数日で自宅に戻らなくなる。

結局母親は1週間で失踪。
局側が探したところ元の知人男性の下に戻っていた。

最後のインタビューでの少年の言葉が「母親が若くてどこぞの金持ちと結婚してるとかホステスとかやってていままでの償いでバイクの1台でも買ってくれればとか夢見てたけど甘かった。自分はこの年で働かなきゃならねえし、誰にも甘えられないのに
そこら辺にいる奴らは親に何でも買ってもらえて羨ましい。どうして自分だけがこうなんだ。」と本音と愚痴を吐いてまた1人の生活に戻っていった。

最初と最後で少年の印象が真逆になってしまって後味悪かった・・・。