数年前に体験した話です。

当時勤めていた職場で、出先の同僚に急ぎの連絡しないといけないことがありました。
小さい会社だったので社用の携帯などなく、私個人の携帯から彼の個人携帯へ電話しようと、ポケットから取り出したのですが、電源を切っているわけでもないのに画面は真っ暗、どこを押してもうんともすんとも言いません。

充電切れたかなぁ?朝満タンにしてたのに、などと思いながら、隣の席の後輩に「ごめんけど、ちょっと◯◯くんに電話してくれない?」と頼みました。

不思議なことに、会社の固定電話から彼の携帯に掛けるというごく当たり前の選択肢が、その時は全く思い当たりませんでした。

後輩は快く了解してくれ、彼女の個人携帯を取り出し、そして真っ青になりました。

彼女の携帯には、鬼のように着信が入っていました。

真面目な彼女は、勤務中は電源を切っていたので気がつかなかったのです。
着信は彼女の実家からでした。
慌ててかけ直すと、祖父の訃報が伝えられ、彼女はそのまま早退しました。

その騒動の最中、私は自分の携帯がいつの間にか当たり前のように起動しているのに気がつきました。
さっきは、どこをどうしても反応しなかったのに。

あれは、後輩に携帯を確認させるためになんらかの力が働いた結果なのかな、と思っています。